OFFスイッチ

長年いっしょに暮らしている犬でも、あるいは犬以外のコンパニオンアニマルではさらに頻繁に、本能的逸脱といわれるような行動が出てしまう時がある。

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(十分なハズバンダリートレーニングによってヒトを受け入れるオオカミであっても、全然安全だと思う人はいないだろう)

ヒトと動物の絆、なんて吹っ飛んでしまうくらいの(ヒトにとって)困った行動。

これらはたいていは動物としては正しい、あるいはやむを得ない行動だったりする。

遺伝子に組み込まれた行動や、学習が繰り返されることにより無意識の反射になってしまった行動。

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(ディズニーのリタイアしたグリズリーベアを飼育している施設では、トレーニングされた熊たちがオスワリやお手をする。可愛いけど、本能を考えるともちろん安全とは思えない。)

ヒト社会で暮らす動物にこれが出てしまうと厄介。
犬なら吠えや噛み、破壊。猫なら狩り、そして去勢避妊がポピュラーではない動物では繁殖本能ベースの行動。

これらと向き合うのはいつだって厄介。
行動を止める事はかんたんにはできない。その行動をしなくなるようにするのはさらに難しい。
ハウストレーニングとは別次元の話。

もともとしない個体と、そういう行動が強く出る個体がいるからややこしい。
他の家と比較しても全く無意味だ。個体差が激しいから。

たとえば来客時に吠える犬。これも自動的な反射行動と思っていいかもしれない。
本来犬はそういう暮らしを長年してきた生き物だから。

そこで吠えてはいけないというトレーニングをしようとしてもたいていうまくいかない。
反射行動は思考回路を通る理性的な行動よりはるかに早く出てしまうから。

来客があったら部屋の隅のマットでフセルという(吠えることと)両立しない行動を教える。
たくさんごほうびを出して、捕食本能に訴えかける。
危機回避本能と捕食本能を犬の中で戦わせるわけだ。
無意識になるまで反復練習すればうまく行く。けど大変。
そしてたまには本能的逸脱。つまり危機回避本能が勝れば吠えてしまうことになる。

そこでタイトルのOFFスイッチを作ることがとても有効な対策となる。
1~2回吠えるのは本能だから認めてあげよう。でもそこでスイッチを切ってもらう。
「オシマイ」という言葉をルールとして教えるのも効果的。
その方法はここでは書ききれないがD.I.N.G.O.のクリッカーをやっている方ならわかるかも。
フィードバックの一つとして、犬の吠えに返事をしてあげるのもいいかもしれない。目的が達成されればそれ以上吠える理由がなくなるから。

「追いかける」というモーターパターンに対抗するには、レーザーポインターを使う。
追いかける行動には追いかける本能で対抗するわけだ。正しくは本能のコントロールをするという感じだろう。
そして無意味な追いかけより、レーザーポインターを追いかける方が価値があればそちらを選んでくれる。

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さまざまな本能的、あるいは反射的な行動に対してクリッカーはとても有効な道具となる。
なぜならクリッカーの音は極めてシャープなブリッジ(二次強化子)だから、反射に負けないくらい一瞬で犬の脳内に報酬を送り込めるからだ。

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私がクリッカーの高度な使用にこだわるわけがそこにある。
基礎をしっかり学んだクリッカー使いが応用を広げて行くと無限の可能性がある。
しかもすべての動物に有効なコンセプトであることもとても有意義だと思う。

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ADICTという認定制度を作っている。アドバンスド ディンゴ インターナショナル クリッカー トレーナー という語呂合わせをしているが、ADDICT つまり中毒という単語をもじった、マニアックなクリッカートレーナー資格。
かなり武道を意識し、1と2からスタートするが、その先の上限は定めていない。
このトレーナー認定にはプロもアマも無い。ただ知識と技術がどのくらいあるかの尺度になるだけだ。
韓国の専門学校からスタートしたが、国内でもどんどん行って行く。
対象動物もオールアニマル。犬猫鳥に限定していない。
専門学校の1年で1、2年で2が取れる程度のカリキュラムを意識している。

ホームページの試作だけ、ちらっとお見せしますね!
ADICT見本ページ

さまざまな動物のトレーナーさんたちと

シンガポールのドルフィントレーナーの友人がいて、そのまたお友達のピンクドルフィントレーナーさんが来日された。
シンガポールで紹介されて以来意気投合してしまったお仲間だ。

さっそくズーラシアを表敬訪問する。

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プロの方たちと会ってつくづく思うのは、○○は好きだけど○○は嫌い、たとえば「犬は好きだけど爬虫類は嫌い」というような動物に対する偏見が感じられない事だ。博愛主義なのかと思うほど全ての動物に深い愛情を注ぐ。
極論すれば、そういう意識を持てない人が動物愛護を語ってもきわめて浅く感じてしまう。
彼女も海洋哺乳類に限らずすべての動物に関心を示す。

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ズーラシアはD.I.N.G.O.本部からもほど近く、仲間、と勝手に思っている象のトレーナーさんが案内してくれてとても楽しく有意義な時間を過ごすことができた。
いつもオスのラスクマルばかり写真を出すから、今回はシュリーとチャメリーという2頭のメスをご紹介。
やはり象とイルカには特別な何かを感じてしまう。

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そして〆はルフトとの対面。とても可愛がってくれた。

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あらゆる動物プロの仲間と見栄やプライドを持たず、心を開いて接し合えることは本当に素晴らしい。
きっかけを作ってくれたのはかつてズーラシアに居た、そして今はJAICAで活躍している高橋さんだろう。
ビールさえ飲みすぎなければ本当に素晴らしい人だ。
いろんなご縁が広がっていくことに感謝している。

私も頑張らなくちゃと強く思う。

もう一つのキュー

私たちはもうコマンド、とか号令という言葉を動物に対する用語として使わない。
それではいろんな不具合が出てくるからだ。
ドアの前に立ったら自動的に犬がオスワリをする。こんな時「コマンドは出していないのに」となって、なんて賢いんだって犬をほめちぎる。
確かにコマンドは出ていない。コマンドは号令。号令はヒトが出す指示の言葉だ。命令でもある。ドアの前にひとたたった時、だれも犬に命令はしていない。それでも犬が座る。
ところがこれ、犬側の目線で考えればコマンドだろうがお約束の環境による刺激だろうが、きっかけは何でもよいわけで、とにかくある特定の条件でオスワリをするとほめられる、おやつをもらえるとなれば犬はそれを学習するという単純な話なわけです。
こんな時、コマンドという言葉を使っていると混乱しやすいから、犬(動物)が行動を起こすすべてのきっかけを総称して「キュー」というように定義づけているわけです。
キューという言葉で考えるようになると、犬(動物全般)との関係がぐっとすっきりします。
きっかけ、行動、結果の3つの箱を使いやすくなります。

で、いろいろなトレーニングをして来ると、そのキューの数がどんどん増えて行きます。
生徒さんには是非リストアップするよう勧めています。
ヒトと犬、双方にとってキューの意味が正しく理解されているなら、それはもはや「共通言語」です。
共通言語が増えれば会話が可能になります。

さて、
皆さんは犬に行動してもらうためのキューをいくつ持っていますか?

この質問から始まる私の新しいセミナーがあります。
多い人は200近いでしょう。少ない人でも3~40個はあると思います。
つまり犬からすればヒトからのキューをそれだけ学んでいるのです。

そこでタイトルの「もう一つのキュー」。
これはヒトからのキューではなく、「犬からのキュー」を意味しています。
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犬がヒトに行動してもらうためのキュー、あなたはいくつ理解していますか?

犬だってヒトに行動してもらいたいときがあります。でも数えてみるとそれは意外なほど少ないはずです。
そして明確な共通言語になっていないケースが多いです。
・外に出たい
・水が飲みたい
・おやつが欲しい
・トイレ行きたい
・遊んでほしい
・ボール投げて
・撫でて
・離れて

こういった犬の希望を犬からのキューとしてきちんと理解していること、フェアトレーニングにはとても大切です。

それなのにヒトからのキューを教えるプログラムは山ほどありますが、犬にヒトに使うキューを教えるプログラムはほとんどありません。フェアトレーニングを標榜する私としてはさびしい限り。
そんな中でもっとも有名な犬からのキューはトレーニングベルかもしれません。

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昔からある製品で、外に出たいときに犬が鳴らすベルです。

トレーニングというとついヒトからのキューで犬に行動させる事ばかり考えてしまいますが、これはヒトに行動させるための犬からのキューを教えるプログラムです。
3つの箱で考えればどう教えて行けばいいかわかりますね。

犬からの要望ってそんなに多くないから、それら全てにこういったキューを作ってみてはどうでしょう?
鈴だけではなく、ヒトが不快にならない音を出すベルなんていかが?

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こうして考えてみると、私たちはとても長い事、犬たちにキューを与えていなかったことに気が付きます。

以前は「犬は黙って人の言う事を聞け」という時代が続いていたし、その後は「よく観察して犬のサインを読め」という流れになっています。D.I.N.G.O.でもシグナルを読むことを推奨しています。
これらはいわゆる「犬語」として取り扱われていました。
ところが、その結果、犬はヒトに通じやすい共通言語を探って、いくつかの手段を身につけてしまいます。
それが「ほえる」「ひっぱる」「とびつく」「かむ」です。

「犬の言葉、観察しましょう」もいいんだけど、大事なんだけど、だけどコンパニオンアニマルには、それが何語でもかまわないからお互いの間の共通言語をきちんと作ればいいじゃないですか。

突然外国の方がホームステイに来た。そんなときあなたはその人をひたすら観察するのでしょうか?
ああ、この人もじもじしてきたからトイレかもなぁ。とか私の飲むビールを見てのどをごっくんさせてるからビール飲みたいのかもなぁとか。

それより最低限の共通言語を教えてあげればいいのではないですか?
「といれ」とか「びーる」とか(笑)

犬からの(猫からの、鳥からの、ウサギからの)キューをちゃんと作ってあげましょう。お互いずっと暮らしやすくなります。

皮膚トラブル

ルフトはどうしても皮膚が弱い。
食事のせいなのか、シャンプーのせいなのか、ストレスのせいなのか、環境のせいなのか。はたまた遺伝的なものか。
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信頼する獣医さんでも特定は難しいそうだ。
とにかくまめに洗ってみる。1週間に1回、もしくはそれ以上。

それでも駄目だ。皮膚が炎症を起こしたがっている。
常在菌に負けているので、環境をクリーンにしても無駄。
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ついに抗生物質のお世話になることにした。
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でもこれでは根本解決にならない。

薬用シャンプーも使うことになった。
これ、ルフトの毛量で4日に1回洗うとシャンプー代だけで毎月相当な出費になる。
必要ならアメリカから直接取り寄せよう。
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ルフトももう9歳。ちゃんとケアしてあげないとね。
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恐怖のお風呂、本当は・・・・・

ルフトは水が苦手。海や川でも自ら泳ごうとすることはない。きっと無理に入れたら泳ぐけどあわてて戻りたがるはず。

お風呂も水。ずっと嫌いだと思っていた。
なぜならものすごく緊張するし、出来れば逃げたいというそぶりすら見せていたから。
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ルフトを洗うには、まず浴槽で「浸け置き」して水をなじませ、それからシャンプーをする。
ゆすいでリンスしてバスタオル3枚使ってタオルドライ。
それからぶっ飛ばしドライヤーで入念に乾かす。

これらすべてを浴槽の中で済ます。毛が舞い散るからだ。
それに要する時間は最短で3時間。
ルフトには忍耐の時間だろう。途中出たくてヒンヒン言う時もある。

よく我慢してるなぁと感心していた。
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ところが、嫌がるサインを出す割には、「オフロ」という合図への反応がすごく早い。
お風呂というと一気に緊張を見せるが、いつからか、すぐ浴室に来るようになった。
ついに昨日はダッシュで来て自ら浴槽に入るそぶりまで見せた。

浴槽には、
1.まず前脚を縁に掛ける
2.私が後脚を持って浴槽に入れる
3.次に前脚を入れる

という手順が必要だったが、昨日は自分で入ろうとした。

ふむ。

薄々勘づいていたが、ルフトは日増しにお風呂が好きになってきている。

「オフロ」と言えば緊張し、舌をぺろぺろ出す。いわゆるカーミングシグナルというやつ。
葛藤を表しているのでケンはタンフリクト(造語)と言っている。
それでも「きっかけ」「こうどう」「けっか」の三つの箱で考えればお風呂に入るという行動はどんどん頻度が上がっているのだから、強化の原理が働いているのは間違いない。
つまり結果に強化子が存在するのだ。

お風呂に入った結果待っているのは乾かされること。でもそれも単純に好きとは思いがたい。隙あらば出て行きたがる。
その次に待っているのは解放されること。
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その時はうれしそうだ。
ハイテンション。教科書通り、アドレナリンが遅れて噴出している感じ。

で、結論は、
ルフトはお風呂が大好き。

でもそれはニコニコうれしそうなレジャーではなく、ハラハラドキドキのジェットコースターのような喜びなのだと思う。

楽しさも多様だ。スリルを味わうのも強化子になりえるということだ。
それ以外に、ルフトが緊張しながらもダッシュでお風呂に入ろうとする理由は見つからない。
どうせ避けられないから居直って、とか、さっぱりして気持ちいから、と考えるとは思えない。

お風呂に入れるのが楽しくなってきた。
申し訳なさが減って気が楽になった。

2015年を振り返って

歳を取ると1年が短くなる。
考えてみれば当然だ。それは1年間が自分の年齢分の1年だからだ。つまり5歳の子の1年は人生の1/5、20%を占めているのに対し50歳の人の1年はたかだか人生の1/50、2%に過ぎない時間だからだ。
そう考えると、おそらく記憶力の良い人ほど1年は「あっという間」になっていく。

で、この1年間はどうだったか。まさにあっという間。いろんなことがあったがどんどん時の流れに乗って過ぎ去っていく。
もう少しきちんと思い返したいと思う反面、記憶の洪水に流されるのもいやだ。
なので常に未来を見て生きている。
2015年はかなり充実した、うれしい1年だったが、2016年はさらに忙しく、かつ、やりがいのある1年になりそうだ。
D.I.N.G.O.の活動が広がり、定着して行っていることが感じられる、うれしい1年だった。
同じ志を持つ仲間がいろんな動物ジャンル、いろんな国に広がっている。

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(津田ITの施設が10周年ということでプロの仲間たちが集まった。数少ない初代メンバー犬のグラッセは既に寝たきり生活が2年くらいになるが、手厚い看護で穏やかに日々を過ごしている。そのグラッセを囲んでの記念撮影。)

来年度の新たな活動もいくつか具体化しつつある。
実に楽しみ。

一方でちょっとさびしいのはルフトが歳を取っていくこと。もちろん自分もだいぶ歳だが、ルフトがあっという間に歳を取っていく感じがする。実際は健康だしかなり幼い、永遠に子供みたいなやつだが、実年齢は重ねている。
来年2月で9歳。

がーん。

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もっと一緒に居たい、いつでもそばに居てあげたい。そんな風に考えてしまうが、考えてみればかなり一緒に居る。ただ世話もかからないので、私がルフトのことを考え、意識を集中している時間が少なくなっているのだ。

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ルフトという名前は空気を意味するドイツ語。空気のように自然でお互いそんなに意識しないが、でも無くてはならない存在になるよう名付けた。そしてそうなりすぎた。
もう少しわがままで手がかかってもいいのに。

毎年盆暮れ恒例となっているルナのお預かり。法務省から依頼され少年院でのプロジェクトのためにパピーを愛護センターに見に行って以来のながぁーいお付き合いだ。このプロジェクトはもう10年にもなるが、ルナがこれまでしてきたことの社会的な貢献度は相当なものだと思う。でも本犬は何も気にしていない。ルナは万年オシャマなおんにゃの子な感じ。
私とはお互いにかなり気心が知れている。もちろんルフトともだ。
横浜ペロでの生活にも慣れている。普段とは全く違う暮らしなはずなのに。
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2016年もルフトとルナとともに迎える。
2016年が動物を愛するみなさんにとって素敵な1年になりますように。

そして2015年は私たちやD.I.N.G.O.を応援してくださりありがとうございました。

待機する犬

出来るだけ出張にはルフトも連れて行く。

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犬の幸せってなんだろう?という永遠の問いに対する答えは、もしかしたら「飼い主と一緒にいること」なんじゃないかと常々思っているから。
楽しい旅でも、楽しくない旅でも。長い旅行でも、近所へのちょっとしたお出かけでも、とにかく一人ぼっちにはなりたくないっていうのが家庭犬の気持ちなんではないだろうか。
犬たちは留守番の時、それが5分なのか5時間なのか、はたまた5年なのか生涯再会できないのか、わからない。

だからちょっとの留守番でも帰るとすごく喜ぶ。
再会するとたいていはすぐ寝てしまう。つまり留守中はほとんど熟睡できていないってことだ。

車で出かける時も、どこに、どのくらいの期間、旅をするのかは全く分からない。
それでも嬉々として車に乗り込む。

やはり飼い主と一緒にいることが一番の望みだからだと思う。
コンビニに行くだけとか、車から一歩も下ろさない時もある。

何時間もドライブして、着いた先では1日中クレート待機ということもしょっちゅう。
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こんなときでも8歳のルフトは最近心配になるほど静かにしている。
静かすぎる。聞き分け良すぎる。
病気なんじゃないかと心配するくらい。
始める時間も、他犬と絡んで遊ぶこともなく、また長いドライブで帰ってくる。

QOLが高いのか低いのか迷う。
それでも留守番よりは一緒に居たいはずだと信じるしかない。

茂原のクラスに行く時だけは、まず九十九里の海岸を散歩し、仕事の前後にはいつもドッグランで遊ばせている。
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その時だけはとてもうれしそうで、そしてクラスの最中にももっと遊ばせろとわがままを言う。
生き生きしている。
騒ぐのは困るが、正直言っておとなしすぎるより私の気は楽になる。
がまんするよりはわがままを言ってほしい。そんな風に思う。

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本当はドッグランで他の犬たちとかけっこしたい、そうルフトは8歳の今でも思っていると思う。
でもお客様の犬と遊ぶのにはリスクがあるので、いつも私と1:1だ。
私のようなおっさんでは申し訳ない、この時ばかりはそう思う。
もっと一緒に走り回ってあげたい。
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それでもクレート待機オンリーより、ずっと楽しそう。相変わらず全力疾走で私を誘ってくれる。

えじやもねが元気な時はルフトもほんとに楽しそうだったな。
私には犬友達の替りは務まらない。
ごめんな、ルフト。

フィードバック

ずーっと人道的、かつ効果的なトレーニングの事を考えてきた。
さらに言えば、人と犬が暮らす、その、双方にとっての意義と、それに基づく関係作りや暮らし方を気にしてきた。

D.I.N.G.O.設立当初は、D.I.N.G.O.の知名度も無く、またニーズも強かったので、とにかく外国人を呼んでイベントを開いていた。ほぼイベンターのようだった。
それでも私なりのこだわりがあり、テーマに関してはこちらでリクエストし、D.I.N.G.O.としての方向性を少しずつ打ち出して行った。

しかし、そんなことを続けていても自分たちのこだわりや考えを直接聞いてくださる人は一向に増えない。イベンターは次にどんな先生を海外から招くかだけが、皆に問われることだから。

徐々に国内のD.I.N.G.O.インストラクターたちの話を聞いてもらえるように、まずは自分たちのセミナーやワークショップを開くようにして行った。
海外の人なら何でもありがたい、という風潮を壊したかった。
むしろ私たちD.I.N.G.O.の話を聞いてもらいたい、そう思った。日本人の感性はコンパニオンアニマルとの人道的な関係づくりに向いていると確信していたから。

海外からの講師を招くイベンターのような業務を減らし、小規模でもいいから自分たちの話をさせていただくイベントにシフトして行った。
売り上げが落ち、経営的にはずっと苦境に立たされていた。
それでもイベンターには戻りたくない。日本初の情報発信を定着させたい。そう思って自分たちのセミナーやワークショップを続けた。
元企画屋だから、外国人のネームバリューではなく、テーマやコンセプト、そしてイベントそのもののエンターテイメント性にアイデアを投入し、少しでも楽しくかつ分かりやすい最新情報の提供を心掛けてきた。

決算は赤字続き、いつ倒れてもおかしくない業績に慢性的な不安は抱えていたが、会社は倒れてもD.I.N.G.O.は育ち続ける。そういう構造を初めから意識していた。
企画屋にとって企画はわが子同然。しっかり育てればやがて一人立ちして独自の人格を持ち歩きだす。D.I.N.G.O.のシステムもそういうつもりで組み立ててある。

10年経って素晴らしい人材が全国に育ってきた。
同じ志、同じ理念を持ってそれぞれが頑張っている。
こういう形態をアメーバ組織と呼んでいる。
実態がありそうで無さそうで、でも柔軟に時代に対応して成長し続ける。絶対的なリーダーを必要としない、しかし絶対的な価値観を共有している集団。

これまでの事を思うとうれしさがこみあげてくる。
解ってくれる仲間が増えた。人と動物が共に暮らすことの意味を本気で考え、目先の利益は論外としても表面的な動物愛護論にも振り回されない、信念を持った「健全な仲間たち」

このところ犬だけにとどまらず、いろいろなコンパニオンアニマルの事で、声をかけてくださる事が増えた。
外国人を呼ばなくても私たちの話を聞いてくださる。
本当にうれしい。

決して守りに入らず、D.I.N.G.O.のポリシーである、「常に3年先を見据えて」を踏まえ、コンパニオンアニマルと暮らすうえで大切なことって突き詰めれば何なんだろうと考えてみた。

その(現在の)答えは、距離によるコミュニケーションとフィードバック。これに尽きると思う。
人を含むすべての動物はその距離感によってコミュニケーションを図っている。
実際の距離、体の向きやバランス、そして視線による精神的な距離。
言語でさえそれを補完する手段の一つにすぎない。
そういった距離感により仲良くなることも嫌われることも起きてくる。
だからリニアに変化する上手な距離感で対話できれば仲良くできる。少なくとも嫌われたり威嚇されることはない。
動物たちが攻撃的になるのは何かを守る場合が多い。守る必要を感じるのは相手の距離が近すぎる場合だ。

ちょっと近づきすっと離れる。
ちらっと見て目をそらす。
相手の反応を確認する。

そうやってお互いの気持ちを確かめ合いながら距離を縮めて行く。

距離はとても大切なメッセージだと思う。

そして共に暮らしていくために必要な事柄を伝えるためのエクササイズ(トレーニングとは言いたくない)では、科学的な学習理論は不変だが、報酬の部分が単に食べ物だけになることが無いよう、もっともっとデリケートに内的報酬まで含めて掘り下げていき、動機付けの理論を突き詰めて行った結果、表題の「フィードバック」にたどり着いた。

フィードバック

最近のセミナーテーマで一番のお気に入りがこの「フィードバック」。

犬だって「話せばわかる」。そう思っている人は多いと思う。私もそう思っている。
でもそれは決して超能力に頼ったアニマルコミュニケーションではないし、一方的に日本語(英語でも)で話しかける事でもない。
人間同士だって、海外の人とはどちらかが相手の言葉を学ばなければ「話せばわかる」ようにはならない。
むしろ中途半端な語学を用いると、思わぬ行き違いでトラブルになることもある。

だから動物たちと「話せばわかる」ようになるためには、私たちの言葉を教えるか、彼らの言葉を学ばなければならない。残念ながら今のところ言語を持っているのはヒトだけ、とされている。鳥類などはかなり高度な音によるコミュニケーションを取っていると思うが、「人類の言語体系」で無いのは確かだ。だから発音や言葉をコピーしてもらっても人の言語を「話せばわかる」レベルで使ってくれるとは思えない。
だから彼らの言葉を学ばなければならない。彼らの言葉はシグナルや、それ以上に距離だ。
言葉だけではなく、価値観とかそういったものも理解しておかなければ、ヒトと動物たちとはベースに有るものが相当に異なるからコンセンサスが取れない。

学習理論の習得程度で満足していてはだめなんだと思う。

フィードバックというテーマのコンセプトは、「話せばわかる」だ。しかしそれは相当に奥が深い。
でもフィードバックの価値と使い方を理解してくれれば、その日から何かが変わると思う。
そのくらい大事だと思っているテーマだ。


アニマルトレーニングでぜひ参考にしたいもの

犬に限らず様々な動物をトレーニングする、特にプロ志向の方にぜひ知っていただきたい、素晴らしい情報の宝庫がいくつかあります。

これらは自分自身でもほんの片鱗しか理解していないものばかりなので、内容を具体的にお伝えすることはできないのですが、絶対に、間違いなく、とても有益なヒントが、ぎっしりと詰まっている、すばらしいものです。(力入ってます)

それぞれがそれぞれに、磨き抜かれてきた長い伝統を持ち、ストイックに追い詰めている達人がひしめいている世界です。

とかく専門分野の方々はその分野に没頭し、他の分野を見れなくなる、あるいは横のつながりや関連性を意識できなくなることが多いと思いますが、そこにコーディネーター的に、あるいはプロデューサー的につながりを見つけ、あらたなものを生み出していける時、本当に目からウロコのすばらしい世界が開けてくるものだと個人的には思っています。

D.I.N.G.O.のイベントには基本、常にテーマとそれを表すタイトルがあります。
漠然と、だれだれ先生の有りがたいお話、というのにはあまり興味がなく、むしろどんなテーマで何を掘り下げるのかにこそ意義があり、そのテーマづくりでほぼコンセプトメイキングは完成していると思うからです。

フィロソフィーがあって、コンセプトがしっかりしている、ということに元企画屋としてのこだわりがあります。表面だけの、あるいは流行に迎合するかのようなイベントは絶対にやりたくない、そう思っています。

素晴らしいマジシャンの聖寿さんと出会い、8年くらいぶりにトレーニングに活かすマジックのワークショップを開きました。

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 マジックで大事なのは観客の心理を上手くコントロールする事。心理誘導というわけですが、マジックの世界ではミスディレクションと呼ばれたりしているようです。
 上手なマジシャンとは、すなわちこの部分がうまい人なのかもしれません。もちろん手先の技術や円滑さもですが、ミスディレクションが素晴らしいと実に気持ちよく騙されます。だまされるというか、もうこれは科学では説明できない(?)空想リアリティのエンターテイメントです。
ひねくれ者以外は、そこにいるすべての人が心理誘導されてしまいます。

翻って(ひるがえって)、私たちのようなアニマルトレーニングを極めたいと思っている人間にとって、動物のコントロールにも、行動面と心理面があります。

ルアーリングと呼ばれる行動の誘導。自発性を引き出すクリッカートレーニングなどによる行動のコントロール。
こういったことの研究は盛んですが、実は意外と心理面の誘導というジャンルはおろそかになっています。これはもともと犬の感情に配慮しない行動分析学などの科学的アプローチが中心となって今日の報酬をベースとした動機付けによるトレーニングが広まったせいかもしれません。

マジシャンの大切にしているミスディレクション、心理誘導は動物のコントロールにも有効なんではないか、そう思いついたのが10年近く前でしたが、一度実験的なイベントを開いただけで、その後悶々とこの可能性について考え続けていました。

マジシャンの聖寿さんに試してもらいました。犬はしっかり心理誘導されます。鳥もです。

ということは、おやつの出現と消失において、動物の予想できない現象を飼い主が起こせる、つまり動物目線でいえば、「うちのママは何もないところからおやつを出してくれる」というミラクルな尊敬を得ることができるということになります。

マジックのミスディレクションはある意味演技力。そして心理面の知識。これはそのまま良い飼い主の条件でもあります。

まだまだ研究中ではありますが、Magic in TrainingはD.I.N.G.O.の大切なメニューになっていくでしょう。
ショー自体も面白いし、何か習うのも面白いのですが、本当に価値があるのは、プロマジシャンの見事なミスディレクションテクニック。これをじっくり観察し、ご自分と動物とのコミュニケーションに導入していって欲しい、と切に願っています。

ちなみに心理面の誘導はマジックのノウハウですが、行動/ハンドリング面は何がお勧めかというと、ずばり太極拳だと思っています。戦いではなくもはや健康維持のための体操のようなニュアンスを感じられる方も多いと思いますが、太極拳の動きにはすべて意味があり、そしてその意味の背景にある人本来の行動パターンが実に動物の行動パターンとも似ているからです。

太極拳の考えがどこに活かせるかと言えば、ずばりハンドリングです。立ち方から身のこなし、リードさばきにまで参考になることが多いと思います。Tタッチのデビー・ポッツは、彼女のグランドワークで素晴らしいハンドリングを披露してくれますが、その彼女も太極拳にインスパイアされていると言えば、ご理解いただけるのではないでしょうか。
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いつかTAI CHI in Animal Trainingというタイトルのワークショップを老師のご協力のもとに実現したいと思います。

以前からD.I.N.G.O.ではクリッカートレーニングを独自に昇華させるアプローチとして、武士道をリスペクトし、精神面から技術面まで出来る限り参考にさせていただいています。相手への気持ちから間合い、立ち居振る舞い、すべてがクリッカートレーニングでもそのまま見習えるからです。
そういった信念を伝えたくて作ったのが、THE BAMBOO CLICKER [DVD]。
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もうすっかり伝説となり、出演している末川INは武道の経験を活かしたクリッカースペシャリストとして大活躍中です。


アニマルトレーニングを学ぶには、やはりどこかで動物の根源にアプローチする他ジャンルの知識が必要だなぁと、つくづく感じます。

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そうそう、恒例のルナお預かり中です。時々会える昔の仲間、みたいな安心感があるルナとの共同生活も楽しいんです。


シンガポール視察の最終稿はMARINE LIFE PARKのDOLPHIN ISLANDです。
以前私たちに会いに来てくれたドルフィントレーナーの比嘉さんを表敬訪問しがてら、1日トレーナー体験をさせてもらおうというプランでした。
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ここには家族連れでも楽しめるようないろいろなコースがあるのですが、まる一日、じっくりトレーナーの仕事を体験させていただく特別コースに参加しました。
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プールに入っての様々な体験、グラスボートからの関わりなどじっくりイルカを観察することもできました。
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イルカは本当に魅力的。
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もちろんトレーナー体験ですから、食餌や健康の管理、そしてハズバンダリーや環境エンリッチメントを目的としたアクティビティメニューのスケジュールプランまで体験、見学、そして学習させてもらいました。

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一日お相手してくれたのはもちろん、比嘉さん。やはりイルカとの深い信頼関係ができているようで、安心して見ていられました。
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スマホやカメラは持ち込み禁止なので、スタッフに撮ってもらったり、時にはカメラを借りて自分で撮影した画像を後から購入するシステムで、これが結構高いのが難点です。ですので、このブログにはお金かかってます。(笑)
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一般的なショーは行っていませんが、トレーニングプログラムは毎日行われています。そしてそういった出来事もすべて記録され、行動の面からも心と体の健康管理に細心の注意が払われています。
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これは健康管理用プール。非常に狭いので、まるで犬たちが動物病院に入るのを恐れるように、イルカたちも警戒しがちです。ですので日常から慣らすようにしている結果、用もないのに自発的に入っていたりするようです。
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確か世界6カ国から集まっているたくさんのスタッフが、毎日ミーティングしながらプログラムを遂行しています。
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そんなミーティングに私たちも同席させてもらい、ちょっとスタッフ気分も味わえました。
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犬も猫も鳥もウサギも、そしてイルカでさえ、私たち人間とかかわる動物との接し方には大切な共通点があります。家庭で飼われるコンパニオンアニマルか、施設で飼われるワイルドアニマルか、そういうこととは無関係な大事な共通点があると思います。

ヒトと動物の関係・・・・・・
ヒトが動物を個人所有するジレンマ。
動物園や水族館という(元)野生動物を閉じ込めている施設の存在理由と意義。
ヒトの幸せ、動物たちの幸せ。
より深いコミュニケーションを通じて私たちが目指していくべき方向性。

今回のシンガポール視察を通じていろいろなヒントをもらったように思います。
この経験を共有すべく、各施設の協力のもとに特別なツアーを企画したいと思っています。



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のいぱぱ

Author:のいぱぱ
やっぱりサモエドが大好きです。
抜け毛がものすごくても、頑固でマイペースでも・・・。
運命の出会いで一緒に暮らすことになったルフトと、最新の科学的な理論をバックボーンに信頼関係を楽しく築いて行きたいと思います。

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