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ハルが来た

3月にお預かりし、早期社会化をして施設にお届けしたハルをゴールデンウィーク中に再びお預かりすることになった。



最初の社会化期間に本来より早めにお届けしたので、今回お預かりしている間に様子を見ながら、何か気になるところがあればトレーニングをしようと思っていた。

しかし改めて観察してみても基本的な性格がとても良くて、この月齢にしてはほとんど手の掛からない良い子だから、ことさらにトレーニングと考えなくても、日々の暮らしの中でいろいろなルールを伝え、社会化を促進してあげれば十分な気がする。
ダメと言われたことはやらなくなるし、変な反抗心も見せない。でも引っ込み思案なおとなし犬ではなく、明るく元気で前向きである。好奇心も旺盛。適度に用心深さもある。

人に甘えたがるが、過度には要求せず、撫でてくれればとても喜ぶ。



ルフトともとても仲が良くて見ていて微笑ましい。ただ依存しすぎると厄介なのだが、意外とさっぱりしていてその心配もなさそう。

本当にイイコ。施設のみんなも幸せだな。
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新しいお仲間

数日前から、ハウスぺろに新しい仲間がやってきた。


名前は、まだない。
このブログに時々登場するルナと同じ使命を持っている仔犬。

ある愛護センターからやって来た。

私たちのPEPという、仔犬育てのプログラムを用いて脳育てと社会化をする。

階段や、

雪!を経験させた。
他犬と仲良くしてもらう練習にはルフトが大活躍。少し仲良くなりすぎたきらいは、ある。


賢く良い子に育ってくれるよう、今日もPEP(パピーエデュケーションプログラム)にいそしもう。

子育てでほぼ決まってしまうから

研究すればするほど、特に生まれてから16週齢までの子犬の育て方が本当に大事だなと思わされます。

家庭犬として良い犬にするには?

という基本的、かつ最も大事なテーマを掘り下げていくと、16週齢までの子育てと、失敗を経験させないことの二つが最も大事だというところにいつもたどり着いてしまいます。

失敗とは犬本来の行動かどうかということとは関係なく、将来こうあって欲しいという、人とのかかわりにおいて学習して欲しくないことを指します。

言うのは簡単だけど16週齢までの学習って言ったって、どうすればよいかわからない、という方も多いと思うので、D.I.N.G.O.のEZシリーズとしてDVDを制作しました。
EZpuppy.jpg

Amazonでも扱い始めました。

少しでも問題を抱えている犬が減ることを願って一生懸命作りました。(笑)

子犬の育て方

このところ、子犬の育成について真剣に考えている。
子犬と言っても16週前後の、いわゆるクリティカルピリオドまでの育て方について。
16週と言えばおよそ4か月齢。脳の成長から見ればそこから先はもはや青少年だから、身体的な成熟度や心の安定性を別とすれば、それほど特別なプログラムを必要としているわけではない。

巷ではよく「子犬は3か月齢までは親兄弟と一緒にいさせるべきだ」と言われている。その間に大切な犬のルールや言葉を学ぶからだと。
一理ある話ではあるが、但し書きが付く。親兄弟がちゃんとしているかどうか。そして正しい学習ができる環境であるか。
3か月齢とはすなわち12週齢。脳が育つ最も大切な時期である。
神経回路シナプスが十分残されるだけの刺激がその環境で提供できるかどうかは、その後の脳の成長に重大な影響を及ぼす。
特に8週齢前後と言われている、怖いという感覚が芽生え始める時期までに人間社会で暮らすためのさまざまな刺激に曝しておけるのか。それによって成長期のストレスレベルが大きく変わってくる。

そこまで考えたプログラムによって、特に生まれてから16週あたりまでの時期を重視した子育てをしているケースがこれまであっただろうか。
せっかくの科学者の研究が人間社会でともに暮らす犬たちの育成にちゃんと反映されているのだろうか。

4か月齢の子犬といえば、まだまだ世間を知らないうぶな存在だと人は思う。
しかし、それまでの経験によって脳の80%は出来上がってしまっているのだ。

これはもう、ほぼ「完成品」であると言ってもよい。
賢くて勇気があり、人の望んでいることを理解できる良い犬になるかどうかは、その時点でもう決まっているといっても過言ではない。

人は犬を飼い始めてから問題に直面して初めてしつけのことを考える。
ペットショップでは健康を優先し、良い犬に育てる部分は飼い主に任せている。
ブリーダーは遺伝的疾患や見た目を重視し、良くても親子の社会的な経験を積ませるにとどまっている。

これからは生まれてから16週齢までの時期を担うプロたちが、もっともっと脳を育てるという意識を持ってほしいと思う。
器がちゃんとしていなければ良い情報を詰め込むことはできないからだ。
タイミングを逃すと同じ学習が何十倍も何百倍も大変になる。

それでも犬が育つのは、それだけ犬が柔軟だから。
ヒトと暮らすことを選んで以来1万5千年もの間、人に気に入ってもらうようデザインまで変えて来た犬たちが、余計なストレスを抱えながらもなんとか人に合わせてきたから。

今16週齢までの脳の育て方を意識したハウツーDVDを制作している。EZ-Puppy Part1だ。
いろいろな形で科学的な子育ての大切さを世の中に広めていけたらと思う。

ペットショップとのコラボレーション

札幌&青森でイベントをしてきました。

札幌ではTenTenさんという大手ペットショップさんで私たちの提案によるデモンストレーションを2日間にわたりさせていただきました。

Tenten1.jpg

今回で2回目ですが、お店のショールームで子犬たちの性格やシグナルをライブで解説するというエキサイティングな試みです。
また主に16週齢までの脳を育てる社会化プログラムをご紹介したり、パピーのクリッカートレーニングを実演したりもしてきました。

ご覧くださったお客様には、できる限り役に立つ情報をご提供できるようにがんばりましたが、私たちにとっても、いろいろな子犬とじっくり向かい合え、とても勉強になるありがたいお仕事です。

つくづく子犬の柔軟性と学習能力はすごいと思ってしまいます。
まだ2回目ですが、学ぶことはたくさんありました。
たとえばガラスケースでの生態販売は子犬のストレスになるからよくないという考え方があります。私もそうだろうなと思っていました。
ところがレイ・コピンジャー博士から学んだ「動物が不安を感じるようになる時期」の前からガラスケースにいる子犬は、外からガラスをたたかれても気にしないのです。
中に入ってちょっと正面から近づこうとするだけで不安を見せていた子犬でさえ、ガラスの外を行き来する人間、ガラスをたたく音には何の不安も見せませんでした。

これは常識の盲点です。
びっくりしましたが、すぐに理解しました。「なるほど、クリティカルピリオドというのはこういう風に作用するんだな」
つまり生まれたての子犬は目にするものがすべて「生まれてはじめて」ですので、それをいちいち怖がっていては生きていけないわけです。で、生命の神秘ですが、そのころに見たものはみんな受け入れてしまうわけです。もちろん親の保護下という条件がなければ生き残れないでしょう。

そしてある程度の経験をつんだ時点で、そろそろ未知なる物には警戒を見せるようになります。これまた生き残るために必要な学習です。

ショップにいた子犬はガラスケースという環境を時期的にストレスなく受け入れ、そしてその後に外の環境や外部の人間に対して警戒を見せるようになる可能性がある、という事実を発見しました。びっくりです。

皆さんの中にも生体販売をするペットショップに反対の考えをお持ちの方もいらっしゃると思います。
私も最初はなんとなくそう思っていました。
しかしその後、ペットショップではなくブリーダーさんから直に子犬を買う人が増え、それに伴う悲劇をたくさん耳にするにつれ、問題なのはペットショップで生体販売することそのものではなく、その売り方、お店の姿勢などが大切なのだと思うようになりました。
これはブリーダーさんもしかりです。
よいブリーダーさんもたくさんいますが、そうでないところもあります。

むしろ車などを例に取れば、新車を工場から買うことはなく、車はカーディーラーから購入するのが常です。なぜディーラーがあるかといえば、工場と購入者の間の重要なインターフェースとなっているからです。
良いペットショップが自動車産業におけるカーディーラーのように、ブリーダーさんと飼い主の間で重要な役割を担うようになれば、実はそれがもっとも健全な形なのではないかと今では思っています。

そしてそこにはレイコピンジャー博士から学んだきわめて大切なこと、16週齢までに脳の8割が出来上がってしまう子犬の社会化(&知育)、というプログラムにもっともふさわしいフィールドがペットショップたりえるという事実があったのです。

そのためにはショップの環境整備や、スタッフの猛烈な学習が必要でしょう。
それに買いに来る消費者も学ばなくてはなりません。

これらのことが実現できれば、まさに未来に向けたモデルケースにすらなると思います。

幸いなことにTenTenさんは私たちの提案にとても興味を持ってくださり、そしてさまざまな試みを積極的に受け入れてくださいました。
これからどんな展開になっていくのか、責任は重大ですが、とてもわくわくします。


そしてオフの時間。
虹をバックに北海道の原野で、連れて行った愛犬たちの記念撮影を行いました。

Tenten2.jpg
この辺のことについては、また改めて。

理想の愛犬とは

まだまだ犬を手にいれ、それから犬のしつけを考えるというケースが多いようです。たいていは問題が発生して、その問題解決が本などでうまくいかない場合にしつけ教室の門をたたくのだと思います。
そういった場合のリクエストの多くが「○○○をしないで欲しい」「○○○をやめて欲しい」というお悩み相談系、いわばマイナス思考、あるいは思った方に育たなかった愛犬の軌道修正となるのはちょっとさびしいです。

マニュアルを見ずに使い始めて、壊れたら修理するという、機械を扱う発想に似ています。でも生きている犬の心(と行動)はそう簡単に修正できない場合があります。
まして子犬から飼い始めるということは、「犬を飼う」という以前に「犬を育てる」という大事なプログラムがあるわけですから、そこで失敗すれば「はじめから壊れている機械」状態に陥ってしまう危険もあるわけです。

やっぱりしっかり先に勉強してから犬を迎えたいですね。
そこで大事なのはどんな成犬になってもらいたいかという具体的なイメージだと思います。

「吠えない・引っ張らない・噛まない・飛びつかない」なんていう否定的な希望は不健全ですね。だったらぬいぐるみが一番ということになってしまいます。

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オスワリやフセ、マテやオイデがしっかりできること。これは99%飼い主側の問題だと思いますし、それほど重要なことではありません。

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私の思う理想の愛犬とは、

・明るくフレンドリーであること
・自分の意思がしっかりしていて、適切な表現で自分の気持ち伝えられること
 (これは私の読解力も大事ですが)
・我慢が出来ること
 (希望は伝えてほしいですが、いつでもそれを認めてあげられるわけではないから)
・困ったことがあってもストレスをため込まず、上手に自己解決できること
・資源を守らないこと
 (これはすぐ攻撃性につながるし、飼い主を信頼していないことになるから)
・健全な他の人や犬と仲良くできること
・危険な人や犬に威圧されても恐れない勇気を持っていること
 (いやなことに心を痛めないでほしいから)
・しかし危険な人や犬からは上手な距離をとり自分を守れること
 (強い犬ではなく、平和を愛する犬になって欲しいです)
・私を信頼すること
 (これは私の責任ですが)
・私の愛を受け入れてくれること
 (私を愛せとは言わないけれど・・・)

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さてルフトは私の願いどおり育ってくれているのでしょうか?
私はルフトをそんな風に育てているのでしょうか?

答えはまだわかりません・・・・
でも理想のイメージに向かって、良い成長のための環境を提供できるようこれからもがんばりたいと思います。

好奇心

犬(に限らず動物)の好奇心はすばらしい。そして危険・・・。
好奇心がなければ新しいもの(こと)に対するチャレンジは何一つできないからだ。
好奇心は脳内に分泌されるドーパミンなどのホルモンが内的報酬として作用し、危険や不安を乗り越えて行動を起こさせる。
好奇心は「怖い」という感覚に打ち勝つための最大の動力源。
そして思わぬ事故を誘発する落とし穴。

「怖い」に打ち勝つときはアドレナリンも分泌される。そして15~20分後に大きなハイテンションの波が襲ってくる。痛い時にはエンドルフィンが麻酔をかける。それでもチャレンジをしていると覚せい剤のドーパミンが出る。
だから叱るとハイパーになるのだ。だから危ない目に会うとさらにアタックしたりする場合がある。
アジリティなどではこういったメカニズムが脳内で起こってどんどんモチベーションが上がっていく。興奮はアドレナリン。戦いや狩りや逃走のホルモン。そしてそれはストレスともイコールである。それが続けば寿命が縮む。それがなければ生きる意欲を失う。
何事もバランス。そして良い飼い主はこういった脳の仕組みまでに洞察を巡らし、クォリティオブライフをバランスの中で見出していくのだろう。

エンドルフィンやドーパミンといった「内的報酬」を上手にコントロールできることが究極の目標なのかもしれない。どんなにおいしい食べ物だって、麻薬より強力な「内的報酬」に打ち勝つことはできないのだから。

やっぱり行きつくところは脳科学や記憶のメカニズムなのか。

学習するということ(実習編)

このブログだけではなく、いろいろなセミナーでも偉そうなことを言っている私ですが、「では自分の犬はどうなんだ!?」と言われてしまうと、ちょっと困ります。
でも今さら取り繕っても仕方がないし・・・


ではいろいろな角度から今のルフトを客観的にご紹介してみましょう。


まず、基本的に朝食(生食)以外のご飯(ドライ)は、時間の許す限り何らかの目的で使ってしまいます。トレーニングだったり、条件付けだったりです。
自然な発育を狙って、パピーフードはあまり与えず、良質なタンパク質とカルシゥムを意識した食事で育てましたが、量に関しても初めのうちはちょっと少な目の状態を維持しました。


その結果、普通の量を与えている現在でも、食に対する意欲はラブなみです。ドライフードだけでもずっと集中を取ることが出来ます。これは報酬ベースのモチベーショナルトレーニングをしていくには大変助かる部分です。


さて、トイレも覚えたし、ゴミ箱あさりや立入禁止区域への無断進入もほぼしなくなり(といってもやがてまたチャレンジしてくると思いますが)、ぼちぼち基本的な動きを教え始めています。


まずオスワリとフセはだいぶ良い感じです。ヴァーバルキュー(声符)だけで出来ます。フセからオスワリは怪しい感じです。(必要であればすぐに介入し修正しています)ちなみにオスワリは背筋を伸ばしたノイそっくりのオスワリです。もしかしたら最初から人間にぎりぎり近い位置で教えたからかも知れません。


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やり始めたのはツケ(ヒールポジションのオスワリ)、ツイテ(ヒールポジションで歩く)、トッテコイ(レトリーブ)、マテなどですが、どれもまだまだな状態です。


失敗したのはオイデ、です。結構来るとごほうびをあげていたのですが、なぜか手の届かないところで止まるようになりました。(これはまずい!))
思い当たるのは、パピーの頃からフードを投げてうまく空中キャッチできるよう練習しすぎたこと。無条件に離れた位置で座っているルフトにフードを投げ続けていましたので、その距離感を覚えてしまったのかも知れません。(ちなみにこの空中キャッチ、教えておくと離れたマテなどの練習で、近寄らなくても報酬を与えられるのでとっても便利なんです。)
実は私、フォーマルな(正式な)呼び戻しには「コイ」を使うつもりなのですが、それはまだ全く教えていません。いわゆる正面停座というやつです。オイデという言葉は実用的にとてもよく使ってしまうので、どうしても崩れやすく、それを見越してコイは関係が出来てから教えるために取ってあるわけです。たぶんツケとツイテも同様の理由で、将来別の言葉で教え直すことになると思います。


それとリミテッドスリップカラーを首にかけようとすると、それを避けるようになっていました。首にかけてしまえばむしろ喜んでいるので、こちらの原因は全く不明・・・。普通お散歩にいけるのだから大好きになるはずの部分です。
理由は解らなかったのですが、とりあえず逆条件付けをして自分からカラーに首を通せるよう練習中です。


今のところ徹底的にフードを使っています。今は新しい行動を覚える時期だから、それぞれによい印象を付けるため、まったくフードの引き上げは考えていません。ただ誘導(餌で釣る状態)は最小限にとどめるよう気を遣っています。
たとえば誘導を多用すれば、今のレベルでもきれいなツケからアイコンタクトしながらのヒーリングで歩くことまで出来ます。おそらくスピンやターンも出来ると思います。でもやはり誘導では犬はなかなか学習しません。本当に根気のいる作業になってしまいます。


そこで出来る限りプロンプト(行動を誘発するヒント)は出さずに自分で考えてもらうのですが、まだまだ思いつかないときも多いようです。集中力も切れやすいです。それは小犬だから仕方ないのですが、それでも何とか教えたいことに関してはプロンプトを用います。でも今度はプロンプトの引き上げで苦労するわけです。プロンプトが引き上げられないでいると、いつの間にかそれがキューになってしまうので、結局ずっと手を動かしたり体をひねらないと、たとえばヒールポジションにも入れなくなるわけです。


以前記憶のメカニズムについてちょっと書きましたが、集中的に何度かプロンプトも用いながら行動を完成させ、すぐにプロンプトの引き上げをしていくと、その場では一見行動を覚えたような感じになります。でもこれはおそらく短期記憶に毛の生えたようなもの、つまり1分から数分程度の記憶領域にあるだけですから、そのままでは長期記憶に入ってくれません。
ひたすら練習を繰り返していれば、そしてその間に妥協さえしなければいつかは正しく覚えるわけですが、どうも効率が悪い気がします。


私の今の課題は、どうすれば教えたいことをスムーズに長期記憶に入れることが出来るのか、にあります。理屈では、印象的な事柄をセットにして提供する。適度な休みを入れる。睡眠時間を大事にする。そしてそれを繰り返す。ということになるのでしょう。
たぶんイメージとしては、まず短期記憶にとどめるためにプロンプトもうまく用いながら、早いリズムで完成の形を覚えさせる。そしてすぐに休む。また同じ練習をする。休む。といった感じでリズムとテンポを大事にしながら一日数回このサイクルを繰り返し、たっぷり寝かせて翌日も同じパターンを繰り返すというのを1週間やれば長期記憶に入るのではないでしょうか。


正しい形のツケなどは時々やっているのですが、どうも覚えが悪いようで、一つは「位置関係」というのは解りにくいのかなとも思いますが、もっと脳の仕組みを理解した上でのプログラムを組めれば良いのかなと感じています。


ノイの時ほどムキになってトレーニングもしていないし、変な野心もあまりありませんから、幸せでいてくれればそれで良いのだけど、やはり最低限のことは教えなければだし、それに費やせる時間も以前より極端に少ないので、効率的な教え方というのはとても重要になっています。

記憶の仕組み


人の記憶には大きく分けて4段階あるそうです。


1.感覚記憶


これは1秒ももたないもので、たとえばテレビの映像(毎秒30コマの連続した静止画像)がスムーズに動いて見えるのはこの記憶のおかげです。


2.短期記憶


こちらは20秒から1分以内の記憶。たとえば会話の中で文章を連続して判断できたり、聞いた電話番号を覚えてかけなおしたり・・・。(ちなみに私はこの部分が特に弱い気がします)


3.近時記憶


数日間の記憶。これが特にREM睡眠で繰り返され、長期記憶になるのでいわゆる『学習』には大事な部分です。


4.長期記憶


この段階で編集され、整理されて忘れない記憶になるのだそうです。もうニューロンを結ぶ専用のシナプスが用意されている状態なので、ネットで言えば専用回線があるような感じですね。自動的にすばやく反応できる領域です。


犬のメカニズムがどのくらいヒトと共通しているのかわからないのですが、基本的には似ていると仮定すると、トレーニングで大事なのは短期記憶&近時記憶を長期記憶に移行させる「必然性作り」なのかなと思えます。
長期記憶に保存しようとする理由は、その情報が興味を引くものであったり、印象的であったり、生きていくうえで重要であったりということなので、教えたい事柄にはそういったインパクトを付与すればいいわけです。
いわゆるエモーションの部分なので、こういったことは行動分析学などでは触れられないのでしょうね。比較的新しい学問である認知学ではその辺もカバーしているのでしょうか。


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とにかく犬のトレーニングでは、長期記憶に入れるために印象的なエピソードを、教えたい事に足しておくと良いということになります。
で、クリッカーが優れている点の一つが、まさにこの点にあるのではないかと思い至りました。シャープなクリック音はとても印象的であり、1クリック1トリートに徹していれば、報酬の約束は犬の脳に深く刻み込まれます。
さらに突き詰めると、本当に覚えて欲しいことなら、時にはすばらしいご褒美を与えると良いのでしょう。食べ物のグレードアップだったり、クリックの後にとても楽しい遊びを提供したり。そしてその後は次のトレーニングをせず仮眠させるといっそう効果的かも。


脳の科学は人間の脳でさえまだまだ研究中ですから、どんどん新しい発表があります。遺伝子もしかり。そしてそういった研究が人間以外の動物を通じてデータ収集されることも多いので、付随的に犬のことも解っていくわけです。
そういった情報をどこまでトレーニングに反映させられるか。ひいては犬のストレスを減らし、より深い絆をヒトとの間に作っていくことが出来るか、言い換えればどれだけ深いコミュニケーションがヒトと犬の間で可能なのか。興味は尽きません。


 

クリッカーの使い道

シナプスシンドロームに陥っている私は、今日もルフトのシナプス保存会会長をやっていました。


なにかっていうと、はしごやアジリティ機材の感覚を久しぶりに体験させたのです。
はしごはオッケーでした。見事に4本の足を動かして上手に通過してくれました。後ろ足関係のシナプスは大丈夫・・・。
でもシーソーにチャレンジしたらダメでした。スロープ関係のシナプスが足りません。困った・・・。
怖くて途中から後ろ足が引けてしまい、完全に体のバランスを崩しています。こんな時はTタッチのボディーワークが役に立つかな?とも思ったのですが、とりあえず面倒くさいので逆条件付けです。


さて、苦手を好きなものと組み合わせる逆条件付けにも古典的とオペラントの2種類がありますが、気を付けなくてはならないのは脱感作に比べて無理がかかるという点です。
逆条件付けは苦手が上回れば「ミイラ取りがミイラになる」つまり好きなものも苦手にしまう可能性があるのです。実際には一次強化子であるおやつを嫌いになることはないでしょうが、それを出す手や、ひいては人間、あるいはそういったシチュエーションをおそれるようになる場合があるからです。
そんなわけで、今回も脱感作的な(?)要素を取り入れて、無理をしない、のんびりペースの逆条件付けをねらってみました。


こんなときはクリッカーが有効です。でもこれは応用編。本来オペラント条件付けに用いられるものと思われているクリッカーを古典的条件付け(的)に用います。


kp2.jpg


なぜかというと、クリッカーを用いたタイミングの良い報酬の提供は、犬に勇気(あるいは勢い?)を与えるからです。
古典的逆条件付けは犬にルールが伝わり、同時に考える余裕が出来るとすぐにオペラント逆条件付けモードに移行していきますので、クリッカーも微妙にタイミングをずらしながらオペラント条件付けを意識したものに変えていきます。


今日の場合はシーソーのそばにいるだけでクリック。苦手なシーソーの上に乗ったらクリック。乗っている間にもさらにクリック。そしてこれまた変則的におやつを常にシーソーの上、ルフトの半歩先に置きます。
古典的逆条件付けとオペラント逆条件付けが入り交じった状態。さらにそこにおやつを出す位置のプロンプトを出していました。
これは実はかなり強引なやり方ですので、ルフトの気持ちがいっぱいいっぱいにならないよう気を付けなければなりません。おやつの価値が低いものを使いながら、いやならやめられる余地を残すようにしました。そしてしばらく逃避していてもそのままのんびり待っていて、再びチャレンジしたくなったらちゃんとクリック&ごほうび。


犬の記憶は4段階。感覚記憶から短期記憶を経て長期記憶に移行する、そのプロセスも意識しながらトレーニングのリズムとサイクルをうまく組み合わせていけば、こんな「苦手克服メニュー」もスムーズに行くのだと思います。


P.S.古典的逆条件付けは苦手の刺激の直後に好きなごほうびが得られることで成り立ちます。一方オペラント逆条件付けはその間に行動が入ります。オペラントはオペレート(操作する)という言葉から生まれた造語だそうです。つまり人間側から見て何らかの操作(犬から見て行動)がごほうびの前に入っていればオペラントです。具体的には苦手な刺激の後にアイコンタクトをするとかオスワリをする。そこにごほうび、あるいはクリック&ごほうびです。

プロフィール

のいぱぱ

Author:のいぱぱ
やっぱりサモエドが大好きです。
抜け毛がものすごくても、頑固でマイペースでも・・・。
運命の出会いで一緒に暮らすことになったルフトと、最新の科学的な理論をバックボーンに信頼関係を楽しく築いて行きたいと思います。

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