2013D.I.N.G.O.カンファレンスがまもなく
2013年度のD.I.N.G.O.カンファレンスがまもなく開催されます。
D.I.N.G.O.カンファレンス
私は基調講演と石綿と一緒に「D.I.N.G.O.10年の歩み-タレント犬トレーニング」、そして独自のプレゼンテーションとして「ルフトの迷信行動」をテーマにお話しする予定です。

夜のプライベートな時間くらいしか、こんな情けない甘えん坊の顔は見せません。
で、「ルフトの迷信行動」ですが、これは日々の暮らしの中で実に面白いと感じるルフトの奇行(?)を題材に通常とは異なる角度から犬の学習について考察し、お話ししたいと考えてテーマに選んだわけですが、参考になる写真や動画を取ることが、いくつかの事情ですごく困難です。
一つはこういった行動があらわれるのが、とてもお見せできないようなプライベートな時間に多いこと。そしてそれを自分撮りするのが技術的にも難しいこと。さらに撮影を全く思いださないほどくつろいでいる、あるいは忙しい時に起きることだからです。
なのでパワーポイントの製作に苦戦しています。
なんとかしなければ。
でもまぁ、皆様の愛犬を考えるもう一つの角度からの視点としてお役にたてればいいなと思っています。
D.I.N.G.O.カンファレンス
私は基調講演と石綿と一緒に「D.I.N.G.O.10年の歩み-タレント犬トレーニング」、そして独自のプレゼンテーションとして「ルフトの迷信行動」をテーマにお話しする予定です。

夜のプライベートな時間くらいしか、こんな情けない甘えん坊の顔は見せません。
で、「ルフトの迷信行動」ですが、これは日々の暮らしの中で実に面白いと感じるルフトの奇行(?)を題材に通常とは異なる角度から犬の学習について考察し、お話ししたいと考えてテーマに選んだわけですが、参考になる写真や動画を取ることが、いくつかの事情ですごく困難です。
一つはこういった行動があらわれるのが、とてもお見せできないようなプライベートな時間に多いこと。そしてそれを自分撮りするのが技術的にも難しいこと。さらに撮影を全く思いださないほどくつろいでいる、あるいは忙しい時に起きることだからです。
なのでパワーポイントの製作に苦戦しています。
なんとかしなければ。
でもまぁ、皆様の愛犬を考えるもう一つの角度からの視点としてお役にたてればいいなと思っています。
愛犬に絵を描いてもらってTシャツにする
先日、いつも楽しいことをするのが恒例の茂原クラスで「ワンコとお絵かき」イベントを行いました。
これは犬に絵筆代わりのスポンジが付いた手袋をはめて、それで絵を描いてもらい、最後はその作品をTシャツにするというD.I.N.G.O.独自の企画です。
手袋に慣れる、画用紙にオテのように前足を出す、というあたりをクリッカーなどを用いて先に練習しておきます。
もちろん画用紙の持ち方、絵具の色の選び方は飼い主さんのセンスですので、いわば飼い主と愛犬と合作、という感じでしょうか。

絵具を選んで

実際に何枚か描いてもらいます。中には手袋を使わず、肉球で描いてもらう人もいます。後で色を落とすのが大変でしょうね。

これはモネの作品。いい感じです。Tシャツのデザインに採用されました。
そしてその後は茂原イベントお約束の・・・・

超絶おいしいBBQです。これがとっても楽しみ。
今回ルフトは見学だけでした。

「ボクモカキタイナ」
愛犬との楽しみ方はたくさん知っているほど、お互いの充実した時間が増えるので良いと思います。思えばずいぶんいろんな楽しみ方を考案してきました。
愛犬の写真がプリントされたTシャツを着るのはちょっと気恥ずかしいですが、愛犬が描いた中小ががプリントされたTシャツなら話は別。みたひとがみんな「それなに?」と聞いてくれるので、その時に「実はうちの犬が描いたの」と答えるときの快感と言ったら。
これは犬に絵筆代わりのスポンジが付いた手袋をはめて、それで絵を描いてもらい、最後はその作品をTシャツにするというD.I.N.G.O.独自の企画です。
手袋に慣れる、画用紙にオテのように前足を出す、というあたりをクリッカーなどを用いて先に練習しておきます。
もちろん画用紙の持ち方、絵具の色の選び方は飼い主さんのセンスですので、いわば飼い主と愛犬と合作、という感じでしょうか。

絵具を選んで

実際に何枚か描いてもらいます。中には手袋を使わず、肉球で描いてもらう人もいます。後で色を落とすのが大変でしょうね。

これはモネの作品。いい感じです。Tシャツのデザインに採用されました。
そしてその後は茂原イベントお約束の・・・・

超絶おいしいBBQです。これがとっても楽しみ。
今回ルフトは見学だけでした。

「ボクモカキタイナ」
愛犬との楽しみ方はたくさん知っているほど、お互いの充実した時間が増えるので良いと思います。思えばずいぶんいろんな楽しみ方を考案してきました。
愛犬の写真がプリントされたTシャツを着るのはちょっと気恥ずかしいですが、愛犬が描いた中小ががプリントされたTシャツなら話は別。みたひとがみんな「それなに?」と聞いてくれるので、その時に「実はうちの犬が描いたの」と答えるときの快感と言ったら。
スーパースティシャス ビヘイビア
スーパースティシャス ビヘイビアというのがある。迷信的行動と訳されている。
わかりやすく言うと、犬が勝手な思い込みで学習してしまう行動のことだ。
繊細で小心者の傾向があるルフトの場合、この迷信的学習による行動が結構多い。

たとえば階段の途中で待機すること。
朝の室内トイレを済ませた後はたいていこの位置で私を待っている。
学習した理由はわからないが、忠実にこの(勝手な)ルールを守っている。
始まりは、全体を見渡しやすい場所だったからかもしれない。もしかして涼しい場所だったからかもしれない。でも今はそれ以上にルールとしてそこにいるみたいだ。

たとえば、このピーピー鳴るおもちゃ。
ルフトはこのおもちゃを咥えに行くときにヒンヒン悲しそうに鳴く。そして壊さないようにそっと運んでいるようだ。
全てのピーピー鳴るおもちゃにそうするわけではない。物によっては秒速で壊してしまう。
でもこのおもちゃは大切に扱っている。
理由はやはり判らない。
もしかして大切な小鳥だと思っているのか。
「擬人化」のように、自分の中でこのおもちゃには生命が有るという設定をしているのか。

たとえば文鳥の桜羅。
捕食の本能では狩りの対象であるはずだ。
しかしずっと管理して桜羅にもしもの事故が起きないように気をつけている。
最近私が桜羅と遊んでいると、ルフトは少し離れた場所に移動するようになった。
ほとんどそばに来ない。
理由は、この場合明白だ。
桜羅にちょっかいを出そうとすると私に注意されるから。
本能から興味を持つとルフトにとってうれしくないことが起きる。
でも近くに行ったら本能のスイッチがどうしても入ってしまう。
そこで自ら距離を置くことで私が緊張する事態を避けようとする行動だ。
健気だし、いじらしい。
知らぬ間にルフトもいろいろ背負い込んでいるんだなぁ、と思う。
人と暮らすことの苦労、っていうのもあるんだね。
もちろん犬同士だって、自然界の動物にだって、ルールや苦労はあると思うから、ヒトに飼われることが犬にとってかわいそうとは決して思わないが。
野良犬の寿命って大体2~4歳だというし。
わかりやすく言うと、犬が勝手な思い込みで学習してしまう行動のことだ。
繊細で小心者の傾向があるルフトの場合、この迷信的学習による行動が結構多い。

たとえば階段の途中で待機すること。
朝の室内トイレを済ませた後はたいていこの位置で私を待っている。
学習した理由はわからないが、忠実にこの(勝手な)ルールを守っている。
始まりは、全体を見渡しやすい場所だったからかもしれない。もしかして涼しい場所だったからかもしれない。でも今はそれ以上にルールとしてそこにいるみたいだ。

たとえば、このピーピー鳴るおもちゃ。
ルフトはこのおもちゃを咥えに行くときにヒンヒン悲しそうに鳴く。そして壊さないようにそっと運んでいるようだ。
全てのピーピー鳴るおもちゃにそうするわけではない。物によっては秒速で壊してしまう。
でもこのおもちゃは大切に扱っている。
理由はやはり判らない。
もしかして大切な小鳥だと思っているのか。
「擬人化」のように、自分の中でこのおもちゃには生命が有るという設定をしているのか。

たとえば文鳥の桜羅。
捕食の本能では狩りの対象であるはずだ。
しかしずっと管理して桜羅にもしもの事故が起きないように気をつけている。
最近私が桜羅と遊んでいると、ルフトは少し離れた場所に移動するようになった。
ほとんどそばに来ない。
理由は、この場合明白だ。
桜羅にちょっかいを出そうとすると私に注意されるから。
本能から興味を持つとルフトにとってうれしくないことが起きる。
でも近くに行ったら本能のスイッチがどうしても入ってしまう。
そこで自ら距離を置くことで私が緊張する事態を避けようとする行動だ。
健気だし、いじらしい。
知らぬ間にルフトもいろいろ背負い込んでいるんだなぁ、と思う。
人と暮らすことの苦労、っていうのもあるんだね。
もちろん犬同士だって、自然界の動物にだって、ルールや苦労はあると思うから、ヒトに飼われることが犬にとってかわいそうとは決して思わないが。
野良犬の寿命って大体2~4歳だというし。
春のゲーム大会 in 茂原
もはや恒例となった年に2回のゲーム大会 in 茂原。今年、2013年の春も実に楽しく開催されました。
このイベントには、極力スタッフも愛犬と出ようということで、ルフトも頑張りました。日頃トレーニングらしいトレーニングはほとんどしていないので、出たとこ勝負ではありますが関係はしっかりできている、という期待のもとにルフトを信じて参加しました。
中でも障害物競走はちょっとアジリティを意識した、しかし本当にアジリティをやっているとむしろ戸惑うかもしれない障害物やルールを交え、だれでも参加できる種目として考えられていて、トレーニングレベルではそれほど差が出ない、意外と奥の深い種目になっています。

たとえば、手前のパイロンを一周するとか、このテーブルの上でオスワリ3秒とか・・・

すだれ状のバーは下をくぐって、低いバーは飛ばなければいけないとか、変化に富んでいます。前回ルフトはすだれのバーを跳ぼうとして失敗しましたが、今回はそれを見越して上手にリードし、順調にクリーンランすることができました。
今回から登場した新メニュー、「ママレスキュー」は災害救助犬の基礎練習のように3つ置かれたテーブルのどれかの後ろに隠れた飼い主を探してもらうという競技ですが、もちろん隠れるところは犬に見せず、準備が整ってからゲートを開けて探してもらうというシビアなルールです。
ただ練習もなしにいきなり鼻だけを使って探すのは至難の業だと思い、声は出してよいというルールにしましたが、予想以上にみんなすぐに見つけられたようで、次回は声を出すのも無しでいいかなと思っています。

こうして写真を見ると、ルフトは迷いもなくまっしぐらに私の隠れているテーブルに向っています。立ち耳の犬のほうが音の方向感覚は優れているのでしょうか。それともまさかちゃんと匂いを取っている?

隠れている飼い主が愛犬にタッチできたら手を挙げてゲーム終了、それまでのタイムを計ります。
このゲームが予想外に素晴らしかったのは、最初ちょっと犬たちが不安がって、それから飼い主を見つけたことに大喜びして駆け寄って行ったことです。普段なら勝手にその辺を走り回ってしまうような子たちまでみんなうれしそうに飼い主のもとにいたのが感動的でした。
このゲームはさらに磨きをかけて、愛犬も楽しめる「スーパーかくれんぼ」に昇華させていきたいです。
このイベントには、極力スタッフも愛犬と出ようということで、ルフトも頑張りました。日頃トレーニングらしいトレーニングはほとんどしていないので、出たとこ勝負ではありますが関係はしっかりできている、という期待のもとにルフトを信じて参加しました。
中でも障害物競走はちょっとアジリティを意識した、しかし本当にアジリティをやっているとむしろ戸惑うかもしれない障害物やルールを交え、だれでも参加できる種目として考えられていて、トレーニングレベルではそれほど差が出ない、意外と奥の深い種目になっています。

たとえば、手前のパイロンを一周するとか、このテーブルの上でオスワリ3秒とか・・・

すだれ状のバーは下をくぐって、低いバーは飛ばなければいけないとか、変化に富んでいます。前回ルフトはすだれのバーを跳ぼうとして失敗しましたが、今回はそれを見越して上手にリードし、順調にクリーンランすることができました。
今回から登場した新メニュー、「ママレスキュー」は災害救助犬の基礎練習のように3つ置かれたテーブルのどれかの後ろに隠れた飼い主を探してもらうという競技ですが、もちろん隠れるところは犬に見せず、準備が整ってからゲートを開けて探してもらうというシビアなルールです。
ただ練習もなしにいきなり鼻だけを使って探すのは至難の業だと思い、声は出してよいというルールにしましたが、予想以上にみんなすぐに見つけられたようで、次回は声を出すのも無しでいいかなと思っています。

こうして写真を見ると、ルフトは迷いもなくまっしぐらに私の隠れているテーブルに向っています。立ち耳の犬のほうが音の方向感覚は優れているのでしょうか。それともまさかちゃんと匂いを取っている?

隠れている飼い主が愛犬にタッチできたら手を挙げてゲーム終了、それまでのタイムを計ります。
このゲームが予想外に素晴らしかったのは、最初ちょっと犬たちが不安がって、それから飼い主を見つけたことに大喜びして駆け寄って行ったことです。普段なら勝手にその辺を走り回ってしまうような子たちまでみんなうれしそうに飼い主のもとにいたのが感動的でした。
このゲームはさらに磨きをかけて、愛犬も楽しめる「スーパーかくれんぼ」に昇華させていきたいです。
距離と時間で関係作り
犬と信頼関係を築く時に一番大事なのは、距離と時間を適切に調整し続けることだと思います。
特に距離感は好意も敵意も表せます。迷いも肯定も否定も距離感で伝わります。喜びも不安も距離感に大きく影響されます。
相手の犬に近づくことがご褒美になることもあるし、警戒心を呼びさまし、嫌悪感を煽ることもあると思います。
そもそも動物同士が近づく場合には必ず理由があるわけで、それが繁殖本能ベースなのか、危機回避本能ベースなのか、それとも集団で狩をするような時に見られる捕食本能ベースのものなのか、犬によっても状況によっても様々でしょう。でも自分に対して犬が近づいて来ることの犬にとっての価値は正しく理解していなけばならないと思います。仮にはじめて会う犬だったら、絆でないことは確かですね。
私たちが特定の犬と信頼関係を築く時には、犬達は予想している以上に距離に敏感だということを念頭に上手に近づいていかなければならないと思います。途中で不安や迷いの様子を見せたら、それ以上近づくことで警戒心を呼び覚ましてしまうでしょう。
でも犬の気持ちに沿った近づき方ができれば、あるいは距離が保てれば、犬はその人を信頼しやすくなるでしょう。
近づくことはご褒美にも嫌悪刺激にもなる。一方で遠ざかることも嫌悪刺激にもご褒美にもなり得る。それを私たちはもっともっと理解していなければならないと思うんです。

同様に時間も信頼関係を築く為にとても大事なファクターだと思います。
犬のトレーニングでは、待つ、ことで解決する問題がたくさんあります。一方で待っていてはいけないというタイミングもあります。
犬の目を一瞬見るのとジッと見つめるのとでは意味が違いますね。
会ってすぐ来られると怖いけど、時間を置いてから近づいてくれれば受け入れられる心理状態というのもあります。
行動を褒めるなら間髪をいれずというタイミング。オスワリを練習中なら、何度もオスワリと言うより、一度言ったらただひたすら座るまで待つという時間の掛け方も、実は効果的な練習方法だったりします。

時間は距離と同じように犬にとって大きな意味を持っているのです。
特に距離感は好意も敵意も表せます。迷いも肯定も否定も距離感で伝わります。喜びも不安も距離感に大きく影響されます。
相手の犬に近づくことがご褒美になることもあるし、警戒心を呼びさまし、嫌悪感を煽ることもあると思います。
そもそも動物同士が近づく場合には必ず理由があるわけで、それが繁殖本能ベースなのか、危機回避本能ベースなのか、それとも集団で狩をするような時に見られる捕食本能ベースのものなのか、犬によっても状況によっても様々でしょう。でも自分に対して犬が近づいて来ることの犬にとっての価値は正しく理解していなけばならないと思います。仮にはじめて会う犬だったら、絆でないことは確かですね。
私たちが特定の犬と信頼関係を築く時には、犬達は予想している以上に距離に敏感だということを念頭に上手に近づいていかなければならないと思います。途中で不安や迷いの様子を見せたら、それ以上近づくことで警戒心を呼び覚ましてしまうでしょう。
でも犬の気持ちに沿った近づき方ができれば、あるいは距離が保てれば、犬はその人を信頼しやすくなるでしょう。
近づくことはご褒美にも嫌悪刺激にもなる。一方で遠ざかることも嫌悪刺激にもご褒美にもなり得る。それを私たちはもっともっと理解していなければならないと思うんです。

同様に時間も信頼関係を築く為にとても大事なファクターだと思います。
犬のトレーニングでは、待つ、ことで解決する問題がたくさんあります。一方で待っていてはいけないというタイミングもあります。
犬の目を一瞬見るのとジッと見つめるのとでは意味が違いますね。
会ってすぐ来られると怖いけど、時間を置いてから近づいてくれれば受け入れられる心理状態というのもあります。
行動を褒めるなら間髪をいれずというタイミング。オスワリを練習中なら、何度もオスワリと言うより、一度言ったらただひたすら座るまで待つという時間の掛け方も、実は効果的な練習方法だったりします。

時間は距離と同じように犬にとって大きな意味を持っているのです。
災害救助犬の(基礎)トレーニングを考える
改めて災害救助犬の基礎トレーニングを考えてみます。
どんな順番で何を教えて行ったらよいのか。
1.ホエロ
いわゆるバークアラート、吠えて知らせるための基礎としてキューで吠えられるように練習します。
2.バークアラート
キューの置き換えという手段で遭難者を発見したら吠えるようにします。
ここで大事なのは、遭難者をそれ以外の人と弁別する条件をちゃんと考えることです。人がうずくまっている、もしくは横になっていることを弁別の条件にできるのが一番良いと思います。隠れているかどうかは条件に入れない方が現実的でしょう。
この段階では、鼻を使って探させるようなことはせず、犬の目の前で遭難者役がしゃがみ込み、吠えさせて報酬を出すことに専念します。
本来の捜索練習とは完全に切り離して考えるべきでしょう。
バークアラートに対する報酬はハンドラーよりも遭難者役のヘルパーさんに出してもらう方が良いと思います。テンションが高く勢いで捜索するタイプの犬ならおもちゃや遊びを報酬にします。それほどテンションが高くない、あるいはすごくフードドライブな犬には食べものがいいでしょう。
3.捜索の基礎
バークアラートができるようになってから、捜索の練習に入ります。初期段階では、距離も環境の難しさもミニマムにして、遭難者を探すというルールを覚えてもらうことに専念します。
犬にもよりますが、まずヘルパーが3m程度離れた遮蔽物に隠れ、それを探すことから始めます。
その際にランナウェイといって犬に見えるように遠ざかり、隠れるという手法が一般的ですが、これは目で探しているにすぎない、いわゆるプロンプトなので、本来の鼻を使って探す行動に切り替えるには、ランナウェイを2~3回にとどめた方が学習効率が良いと思います。
部屋の中など、余分な情報がないところに2つの箱を置き、そのどちらに入っているかを鼻を使って探させるような方法が好ましいでしょう。
2者択一だし距離は短いし屋外のような余分な刺激もないところで、とにかく鼻で探すという習慣を付けるためです。
4.環境の変化
屋外、がれき、ブッシュ、廃屋など様々な環境で捜索の練習をするには、まずそういった環境に慣らしておくことが大切です。経験のないシチュエーションでは場に慣れるだけで大変ですから、捜索まで犬の意識が回らなくなる恐れがあり、これは捜索をしてもしなくても良いという学習につながってしまう懸念があるからです。まずはリード付きで、もしくはオフリードで自由に犬に探索をさせるようにしましょう。
5.距離の変化
一般的な家庭犬には飼い主から離れても平気な距離感というのが個々に存在します。災害救助犬の捜索では日常の距離感を超えた距離での捜索が求められますから、距離を離れても平気だという慣らしが必要になります。
これは、たとえばハンドラーからは離れるが、遠くのヘルパーが遊んでくれる、あるいはおやつをくれるといった練習が効果的でしょう。この練習でもまだ捜索と混ぜることはしません。
6.捜索のバリエーション
様々なシチュエーションでの捜索を行います。ここで大事なのは距離を延ばさないこと。失敗するリスクを避け、環境の般化に集中します。
7.ロングディスタンスの捜索
距離のある、ハンドラーから見えなくなるような場所での捜索練習です。この段階では屋外でも最も安心できるシチュエーションで行うことが望まれます。距離を伸ばす時は環境や発見の難易度を高めないことが大切です。
8.さまざまな環境でのロングディスタンス
ここでシチュエーションを変えながらの長い距離の捜索を行います。それでも風向きなどの難易度は低く抑えるべきでしょう。
9.発見の難易度を高める
今度は風向きや遭難者役の隠れ方による、発見の難易度を高める練習をします。この場合、距離は短く、そしてシチュエーションも安心できるような場所を選びましょう。
ただ探すことだけが難しい隠れ方、風向きを練習します。
10.総合練習
すべての練習をしっかり終えてから、応用的にすべての条件を様々に組み合わせた練習を行いましょう。
ただ、ここではまだ複数解答やゼロ解答はやらないようにします。
11.複数解答とゼロ解答
遭難者役が複数いる設定での練習、および一人もいない設定の練習を行います。
この練習をするときは距離や環境の難易度は下げておきます。ゼロ解答の練習をする場合には報酬に特に注意します。生存者発見よりも喜ばしい報酬が出てはならず、でもゼロ解答を学習し伝えることができる程度には報酬が必要だからです。どのくらいの範囲でどのくらいの時間捜索し続けるか、きっと高度なバランス感覚がハンドラーにも犬にも求められるのだと思います。
12.死体捜索の練習
生存者の捜索練習は、実働の頻度があまり高くないことを考えると、最後まで報酬をヘルパーが出す練習のまま行っても構わないと思います。ただその場合、遺体捜索に関しては捜索する臭いが異なること、そして遺体が報酬を出すことが有り得ないことを考え、生存者の捜索とはまったく異なる練習とルールを作る必要があると思います。
しかし、これはエアセント(浮遊臭をとる)による臭気選別ですので、シグマシュート(合成臭)などを用いて普通に臭気選別の練習から始められると思います。
この場合報酬を出すのはハンドラーなのでクリッカーを用いることで効率を上げることができると思います。
ただ見つけたらバークアラートという条件付けは必須ですので、「ホエロ」の声からキューの置き換えによって教えて行きます。
もしかしたら生存者捜索と遺体捜索の場合のキューを変えておいた方が良いかもしれませんが、同じキューで捜索させるなら、生存者捜索にプライオリティーを置くための練習が必要になります。
13.生存者捜索にプライオリティーを置く練習
ここまでの練習ができたら、遭難者役とシグマシュートを同間隔で並べ、捜索のキューで犬を出します。そこで生存者発見を優先したら報酬を出し、そうでなかったら出さないという弁別の練習を行います。
環境の条件付けとして、生存者がいない場合のみシグマシュートの発見で報酬が出るという練習です。
以上とりあえず思いついたことを書いてみました。
ポイントは「4つのD」と呼ばれているトレーニングの原則、つまり距離と時間と環境と報酬(のレベルや引き上げ)を同時に難しくして行かないこと。練習するときにはひとつずつ難易度を上げて行くようにするという点に有ると思います。
今後徐々に実用的なトレーニングマニュアルにしていけるように考えて行きたいと思います。
どんな順番で何を教えて行ったらよいのか。
1.ホエロ
いわゆるバークアラート、吠えて知らせるための基礎としてキューで吠えられるように練習します。
2.バークアラート
キューの置き換えという手段で遭難者を発見したら吠えるようにします。
ここで大事なのは、遭難者をそれ以外の人と弁別する条件をちゃんと考えることです。人がうずくまっている、もしくは横になっていることを弁別の条件にできるのが一番良いと思います。隠れているかどうかは条件に入れない方が現実的でしょう。
この段階では、鼻を使って探させるようなことはせず、犬の目の前で遭難者役がしゃがみ込み、吠えさせて報酬を出すことに専念します。
本来の捜索練習とは完全に切り離して考えるべきでしょう。
バークアラートに対する報酬はハンドラーよりも遭難者役のヘルパーさんに出してもらう方が良いと思います。テンションが高く勢いで捜索するタイプの犬ならおもちゃや遊びを報酬にします。それほどテンションが高くない、あるいはすごくフードドライブな犬には食べものがいいでしょう。
3.捜索の基礎
バークアラートができるようになってから、捜索の練習に入ります。初期段階では、距離も環境の難しさもミニマムにして、遭難者を探すというルールを覚えてもらうことに専念します。
犬にもよりますが、まずヘルパーが3m程度離れた遮蔽物に隠れ、それを探すことから始めます。
その際にランナウェイといって犬に見えるように遠ざかり、隠れるという手法が一般的ですが、これは目で探しているにすぎない、いわゆるプロンプトなので、本来の鼻を使って探す行動に切り替えるには、ランナウェイを2~3回にとどめた方が学習効率が良いと思います。
部屋の中など、余分な情報がないところに2つの箱を置き、そのどちらに入っているかを鼻を使って探させるような方法が好ましいでしょう。
2者択一だし距離は短いし屋外のような余分な刺激もないところで、とにかく鼻で探すという習慣を付けるためです。
4.環境の変化
屋外、がれき、ブッシュ、廃屋など様々な環境で捜索の練習をするには、まずそういった環境に慣らしておくことが大切です。経験のないシチュエーションでは場に慣れるだけで大変ですから、捜索まで犬の意識が回らなくなる恐れがあり、これは捜索をしてもしなくても良いという学習につながってしまう懸念があるからです。まずはリード付きで、もしくはオフリードで自由に犬に探索をさせるようにしましょう。
5.距離の変化
一般的な家庭犬には飼い主から離れても平気な距離感というのが個々に存在します。災害救助犬の捜索では日常の距離感を超えた距離での捜索が求められますから、距離を離れても平気だという慣らしが必要になります。
これは、たとえばハンドラーからは離れるが、遠くのヘルパーが遊んでくれる、あるいはおやつをくれるといった練習が効果的でしょう。この練習でもまだ捜索と混ぜることはしません。
6.捜索のバリエーション
様々なシチュエーションでの捜索を行います。ここで大事なのは距離を延ばさないこと。失敗するリスクを避け、環境の般化に集中します。
7.ロングディスタンスの捜索
距離のある、ハンドラーから見えなくなるような場所での捜索練習です。この段階では屋外でも最も安心できるシチュエーションで行うことが望まれます。距離を伸ばす時は環境や発見の難易度を高めないことが大切です。
8.さまざまな環境でのロングディスタンス
ここでシチュエーションを変えながらの長い距離の捜索を行います。それでも風向きなどの難易度は低く抑えるべきでしょう。
9.発見の難易度を高める
今度は風向きや遭難者役の隠れ方による、発見の難易度を高める練習をします。この場合、距離は短く、そしてシチュエーションも安心できるような場所を選びましょう。
ただ探すことだけが難しい隠れ方、風向きを練習します。
10.総合練習
すべての練習をしっかり終えてから、応用的にすべての条件を様々に組み合わせた練習を行いましょう。
ただ、ここではまだ複数解答やゼロ解答はやらないようにします。
11.複数解答とゼロ解答
遭難者役が複数いる設定での練習、および一人もいない設定の練習を行います。
この練習をするときは距離や環境の難易度は下げておきます。ゼロ解答の練習をする場合には報酬に特に注意します。生存者発見よりも喜ばしい報酬が出てはならず、でもゼロ解答を学習し伝えることができる程度には報酬が必要だからです。どのくらいの範囲でどのくらいの時間捜索し続けるか、きっと高度なバランス感覚がハンドラーにも犬にも求められるのだと思います。
12.死体捜索の練習
生存者の捜索練習は、実働の頻度があまり高くないことを考えると、最後まで報酬をヘルパーが出す練習のまま行っても構わないと思います。ただその場合、遺体捜索に関しては捜索する臭いが異なること、そして遺体が報酬を出すことが有り得ないことを考え、生存者の捜索とはまったく異なる練習とルールを作る必要があると思います。
しかし、これはエアセント(浮遊臭をとる)による臭気選別ですので、シグマシュート(合成臭)などを用いて普通に臭気選別の練習から始められると思います。
この場合報酬を出すのはハンドラーなのでクリッカーを用いることで効率を上げることができると思います。
ただ見つけたらバークアラートという条件付けは必須ですので、「ホエロ」の声からキューの置き換えによって教えて行きます。
もしかしたら生存者捜索と遺体捜索の場合のキューを変えておいた方が良いかもしれませんが、同じキューで捜索させるなら、生存者捜索にプライオリティーを置くための練習が必要になります。
13.生存者捜索にプライオリティーを置く練習
ここまでの練習ができたら、遭難者役とシグマシュートを同間隔で並べ、捜索のキューで犬を出します。そこで生存者発見を優先したら報酬を出し、そうでなかったら出さないという弁別の練習を行います。
環境の条件付けとして、生存者がいない場合のみシグマシュートの発見で報酬が出るという練習です。
以上とりあえず思いついたことを書いてみました。
ポイントは「4つのD」と呼ばれているトレーニングの原則、つまり距離と時間と環境と報酬(のレベルや引き上げ)を同時に難しくして行かないこと。練習するときにはひとつずつ難易度を上げて行くようにするという点に有ると思います。
今後徐々に実用的なトレーニングマニュアルにしていけるように考えて行きたいと思います。
災害救助犬の基礎練習会
先代のノイとは何度か経験していた災害救助犬の練習をルフトともやってみたくて、そしてそれよりなにより、家庭犬の絆作りや飼い主さんの目標の一つになることを願って、災害救助犬の練習会を開催しました。
災害救助犬を通じて十数年来のお付き合いである高崎さんご夫妻に応援に来ていただき、いつものウェランカラ九十九里をフルに使わせていただいての練習会です。

とても風の強い一日でしたが、美味しいランチを挟んで朝から夕方までみんなで練習してきました。

まず自分を探してもらう、かんたんなレベルから始めます。10mほど先に解るようにしゃがんで捜索させますが、ルフトにはバークアラートまでは教えてあるので、私を見つけたら吠えて知らせるまで頑張ってもらいます。

それができたら食べものよりもハイテンションに一緒に遊ぶことを優先して、捜索は楽しい、という印象を持たせます。

ルールがわかったら、飼い主ではなく別のヘルパーに隠れてもらい捜索させます。隠れる難易度は最初はまるみえのレベルから、徐々に徐々に高くして行くわけです。
ルフトの様子を見たかったのですが、予想よりもうまくできました。
ルフトが楽しそうなのが何よりで、やはり続けて行こうと思います。
まずは12日の相模湖ピクニックランドで行われる高崎さん主宰の練習会にお邪魔することにします。
災害救助犬を通じて十数年来のお付き合いである高崎さんご夫妻に応援に来ていただき、いつものウェランカラ九十九里をフルに使わせていただいての練習会です。

とても風の強い一日でしたが、美味しいランチを挟んで朝から夕方までみんなで練習してきました。

まず自分を探してもらう、かんたんなレベルから始めます。10mほど先に解るようにしゃがんで捜索させますが、ルフトにはバークアラートまでは教えてあるので、私を見つけたら吠えて知らせるまで頑張ってもらいます。

それができたら食べものよりもハイテンションに一緒に遊ぶことを優先して、捜索は楽しい、という印象を持たせます。

ルールがわかったら、飼い主ではなく別のヘルパーに隠れてもらい捜索させます。隠れる難易度は最初はまるみえのレベルから、徐々に徐々に高くして行くわけです。
ルフトの様子を見たかったのですが、予想よりもうまくできました。
ルフトが楽しそうなのが何よりで、やはり続けて行こうと思います。
まずは12日の相模湖ピクニックランドで行われる高崎さん主宰の練習会にお邪魔することにします。
許可と解除
「オッケー」という合図は結構ポピュラーになってきたと思う。しかしその意味するところは使う人によってまちまちだ。
たとえば一般的な盲導犬トレーニングでは「オッケー」は、ほぼ前に歩き出すという意味になっている。
オッケーと言われたら歩きださなければいけない。これは許可でも解除でもなく、命令に近いが、慣習になっているから仕方ない。

(オスワリを解除する場合にどちらを使うかが問題だ)
動機付けによるモチベーショナルトレーニングをしている人は、基本的にすべてのキューが犬にとってうれしいことになるよう練習している。オスワリと言われてオスワリをするとごほうびがもらえる、という強化の原理に基づいている。
だから犬はしぶしぶ指示に従うのではなく、「よろこんでオスワリ」するのである。
うれしそうに、得意になって座っている犬に対して「オッケー」を本来の意味で使うのなら、犬はその時一番したいこと、つまりオスワリを継続するのが正しい行動だ。

だからオッケーと言われても動かない。これは「ハウス」でも良く起きる。ハウスは外的報酬に限らず、内的報酬が出る可能性が高いので、オッケーと言われたらそのままハウスにとどまろうとするためだ。
そこで無理やりリードを使って引きずり出せば犬が混乱する。オッケーと言われたから好きなことをしているのに無理やり出さされた、ということになる。言葉とリードさばきが矛盾してしまうのだ。

犬を混乱させないために、私たちは、イヌとの大切な共通言語をもう一度見直すべきではないだろうか。
「オッケー」は許可の合図だ。今したいと思っていることをして良い、という意味で使うべき言葉だ。そうでないと本来のオッケーの意味と違う合図になってしまう。
服従訓練で嫌がる犬を無理やり押さえているなら、きっとおっけーと言われたら動き出すだろう。でも好きでキューに従っている犬にはその時の気分で何か違うことをしようとする場合も、現状維持を希望する場合もある。その選択肢でさえ犬にゆだねるのがフェアだと思う。

(友人の音楽評論家、吉岡正晴氏の顔を舐めまくるルフト)
「オッケー」を正しく使っていれば、犬は何かしたいことがあるときに、大抵はアイコンタクトで人に許可を求めてくるようになる。そこで「オッケー」と言えばお客さまの顔を舐めることでさえ許されるのだ。だから環境を確認せずにむやみにオッケーと言ってはいけない。
私もついオッケーと言ったせいで先代の犬には、突然そばの川に飛び込まれたことがある。

では事前に出したキューを解除したい時はどうすればいいのか。もうオスワリをやめて欲しい時には、文字通り解除の合図を別に作っておくことを強くお勧めする。
「フリー」とか「オシマイ」という言葉を使う場合が多いが、これはモチベーショナルトレーニングならではの用語であり、「オッケー」のように要求をかなえるのではなく、事前のキューの終了を告げる合図だと理解して欲しい。
たとえばお座りしていて動きたくて仕方なくなっている犬になら「オッケー」でも動くだろう。ハウスから出たい犬に「オッケー」と言えば出てくる。でもあくまでもそれは犬が望んでいるなら、だ。「オッケー」と言ったら、出るも出ないも犬の選択に任せてあげて欲しい。
「オシマイ」は何でも好きなことをして良いわけではない、直前のキューが終わることを意味しているだけだから、それ以前の状態に戻る合図である。
たとえば一般的な盲導犬トレーニングでは「オッケー」は、ほぼ前に歩き出すという意味になっている。
オッケーと言われたら歩きださなければいけない。これは許可でも解除でもなく、命令に近いが、慣習になっているから仕方ない。

(オスワリを解除する場合にどちらを使うかが問題だ)
動機付けによるモチベーショナルトレーニングをしている人は、基本的にすべてのキューが犬にとってうれしいことになるよう練習している。オスワリと言われてオスワリをするとごほうびがもらえる、という強化の原理に基づいている。
だから犬はしぶしぶ指示に従うのではなく、「よろこんでオスワリ」するのである。
うれしそうに、得意になって座っている犬に対して「オッケー」を本来の意味で使うのなら、犬はその時一番したいこと、つまりオスワリを継続するのが正しい行動だ。

だからオッケーと言われても動かない。これは「ハウス」でも良く起きる。ハウスは外的報酬に限らず、内的報酬が出る可能性が高いので、オッケーと言われたらそのままハウスにとどまろうとするためだ。
そこで無理やりリードを使って引きずり出せば犬が混乱する。オッケーと言われたから好きなことをしているのに無理やり出さされた、ということになる。言葉とリードさばきが矛盾してしまうのだ。

犬を混乱させないために、私たちは、イヌとの大切な共通言語をもう一度見直すべきではないだろうか。
「オッケー」は許可の合図だ。今したいと思っていることをして良い、という意味で使うべき言葉だ。そうでないと本来のオッケーの意味と違う合図になってしまう。
服従訓練で嫌がる犬を無理やり押さえているなら、きっとおっけーと言われたら動き出すだろう。でも好きでキューに従っている犬にはその時の気分で何か違うことをしようとする場合も、現状維持を希望する場合もある。その選択肢でさえ犬にゆだねるのがフェアだと思う。

(友人の音楽評論家、吉岡正晴氏の顔を舐めまくるルフト)
「オッケー」を正しく使っていれば、犬は何かしたいことがあるときに、大抵はアイコンタクトで人に許可を求めてくるようになる。そこで「オッケー」と言えばお客さまの顔を舐めることでさえ許されるのだ。だから環境を確認せずにむやみにオッケーと言ってはいけない。
私もついオッケーと言ったせいで先代の犬には、突然そばの川に飛び込まれたことがある。

では事前に出したキューを解除したい時はどうすればいいのか。もうオスワリをやめて欲しい時には、文字通り解除の合図を別に作っておくことを強くお勧めする。
「フリー」とか「オシマイ」という言葉を使う場合が多いが、これはモチベーショナルトレーニングならではの用語であり、「オッケー」のように要求をかなえるのではなく、事前のキューの終了を告げる合図だと理解して欲しい。
たとえばお座りしていて動きたくて仕方なくなっている犬になら「オッケー」でも動くだろう。ハウスから出たい犬に「オッケー」と言えば出てくる。でもあくまでもそれは犬が望んでいるなら、だ。「オッケー」と言ったら、出るも出ないも犬の選択に任せてあげて欲しい。
「オシマイ」は何でも好きなことをして良いわけではない、直前のキューが終わることを意味しているだけだから、それ以前の状態に戻る合図である。
マテは何に使うのか
私たちは基本「オスワリマテ」や「フセマテ」というキューを使わない。それはなぜか。
犬に出すキュー(行動を促す合図全般のこと)は少しでもシンプルで犬にわかりやすいことが、迷いや判断のミスを減らし、余分なストレスを与えないために大事だと思うので、これまで慣例的に用いられてきたキューもすべてその目的と意味を見直すようにしている。
で、そういう視点で考えると「オスワリ」だけど待たなくて良い時があるのか、「フセ」だけどすぐ立ち上がって良い時があるのか、という疑問が浮かぶ。
ハウスマナー的には前回も書いたように「オスワリ」は行動ではなくその状態の維持を私たちは求めているはずだから、すぐ動いて良い(行動としての)オスワリやフセは基本的に無いと思う。

(ボールを咥えたままのオスワリ)
であれば、わざわざ「オスワリ」にいつも「マテ」を付け足すというのは蛇足ではないだろうか。
犬目線から見れば「オスワリ」と「オスワリマテ」は使っていれば同義語になる。しかし「マテ」という言葉の響きは犬にとって印象的。「オスワリマテ」「フセマテ」と、いろんなキューにこの印象的な「マテ」が付いていることには、混乱こそすれ何の役にも立たない。
本来の「マテ」の意味がぼやけて行ってしまうはずだ。

(「ゴロン」でこの姿勢になりそれを維持する。「ゴロンマテ」とは言わない)
ではいったい「マテ」はいつ使うキューなのだろう?そして厳密にはどんな意味で使うべきなんだろう?
それを私は「今している行動をすぐに止める」という意味で使うようにしている。
拾い食いをしそうな時、道路に飛び出しそうな時。特に犬の命を守るために今している行動をすぐさま止めたい時にこそ「マテ」が活きるようにしたいのだ。
整理すると、「マテ」は行動に対して出すキュー、ということになる。
そしてオスワリやフセは行動ではなく状態である、という考えに基づくと「行動を止めろ」というキューを行動していない時にも出すというのは、まさに犬が混乱する大きな要因に成っている可能性がある。
この辺を正しく理解しているだけで犬へのキューの出し方が変わってくるだろう。そして犬も「マテ」を正しく理解できるようになるはず。
試しに「オイデ」と言って犬がこちらに来る途中に「マテ」と言ってみて欲しい。そこで止まれればかなり理解している。きょとんとしながら歩きよってしまうようなら、「マテ」を正しく理解していないのかもしれない。
人間が出す合図は得てして犬には分かりにくい。
これまで普通に使ってきたキューも犬目線で見つめ直してい見ると色々な矛盾に気が付くと思う。

と、ここまで説明してきてなんだが、自分でもルフトに「オスワリ」「マテ」ということがある。っていうか、結構ある。
あれれ?単なる屁理屈だったのか?
実は「オスワリ」でも「フセ」でもそれを完ぺきに守ってくれるのなら、その際の「マテ」は不要なのだが、そんなレベルまでトレーニングしていないので、時には外部の刺激で動きそうになるわけで、そんな時には「マテ」をかけるのだ。
屁理屈のようだけど、「オスワリマテ」と「オスワリ」「マテ」(間に時間の流れがある)とは全然違うのだ。
これはとても大事な違いだ。
これ、厳密にはオスワリを勝手に解除して動き始めたことに対して「マテ」をかけているのだ。
つまり「オスワリ」は行動ではなく状態。そしてその状態を勝手に解除してしまう時に行動が起きるわけで、その動き始めのごく小さな行動に対して「マテ」をかけるのである。
「今しようとしている解除行動をただちに止めなさい」という意味の「マテ」なのである。
犬に出すキュー(行動を促す合図全般のこと)は少しでもシンプルで犬にわかりやすいことが、迷いや判断のミスを減らし、余分なストレスを与えないために大事だと思うので、これまで慣例的に用いられてきたキューもすべてその目的と意味を見直すようにしている。
で、そういう視点で考えると「オスワリ」だけど待たなくて良い時があるのか、「フセ」だけどすぐ立ち上がって良い時があるのか、という疑問が浮かぶ。
ハウスマナー的には前回も書いたように「オスワリ」は行動ではなくその状態の維持を私たちは求めているはずだから、すぐ動いて良い(行動としての)オスワリやフセは基本的に無いと思う。

(ボールを咥えたままのオスワリ)
であれば、わざわざ「オスワリ」にいつも「マテ」を付け足すというのは蛇足ではないだろうか。
犬目線から見れば「オスワリ」と「オスワリマテ」は使っていれば同義語になる。しかし「マテ」という言葉の響きは犬にとって印象的。「オスワリマテ」「フセマテ」と、いろんなキューにこの印象的な「マテ」が付いていることには、混乱こそすれ何の役にも立たない。
本来の「マテ」の意味がぼやけて行ってしまうはずだ。

(「ゴロン」でこの姿勢になりそれを維持する。「ゴロンマテ」とは言わない)
ではいったい「マテ」はいつ使うキューなのだろう?そして厳密にはどんな意味で使うべきなんだろう?
それを私は「今している行動をすぐに止める」という意味で使うようにしている。
拾い食いをしそうな時、道路に飛び出しそうな時。特に犬の命を守るために今している行動をすぐさま止めたい時にこそ「マテ」が活きるようにしたいのだ。
整理すると、「マテ」は行動に対して出すキュー、ということになる。
そしてオスワリやフセは行動ではなく状態である、という考えに基づくと「行動を止めろ」というキューを行動していない時にも出すというのは、まさに犬が混乱する大きな要因に成っている可能性がある。
この辺を正しく理解しているだけで犬へのキューの出し方が変わってくるだろう。そして犬も「マテ」を正しく理解できるようになるはず。
試しに「オイデ」と言って犬がこちらに来る途中に「マテ」と言ってみて欲しい。そこで止まれればかなり理解している。きょとんとしながら歩きよってしまうようなら、「マテ」を正しく理解していないのかもしれない。
人間が出す合図は得てして犬には分かりにくい。
これまで普通に使ってきたキューも犬目線で見つめ直してい見ると色々な矛盾に気が付くと思う。

と、ここまで説明してきてなんだが、自分でもルフトに「オスワリ」「マテ」ということがある。っていうか、結構ある。
あれれ?単なる屁理屈だったのか?
実は「オスワリ」でも「フセ」でもそれを完ぺきに守ってくれるのなら、その際の「マテ」は不要なのだが、そんなレベルまでトレーニングしていないので、時には外部の刺激で動きそうになるわけで、そんな時には「マテ」をかけるのだ。
屁理屈のようだけど、「オスワリマテ」と「オスワリ」「マテ」(間に時間の流れがある)とは全然違うのだ。
これはとても大事な違いだ。
これ、厳密にはオスワリを勝手に解除して動き始めたことに対して「マテ」をかけているのだ。
つまり「オスワリ」は行動ではなく状態。そしてその状態を勝手に解除してしまう時に行動が起きるわけで、その動き始めのごく小さな行動に対して「マテ」をかけるのである。
「今しようとしている解除行動をただちに止めなさい」という意味の「マテ」なのである。
D.I.N.G.O.カンファレンス2012
D.I.N.G.O.を設立して9年になります。
そろそろ何か発表の場を、という思いでカンファレンスを企画しました。
低予算小規模なカンファレンスですが、全国各地で活躍しているD.I.N.G.O.インストラクターたちが犬との暮らしに関するアイデアや研究を発表します。
少しでも多くの方に来てもらえればと思います。
D.I.N.G.O. Conference2012
そろそろ何か発表の場を、という思いでカンファレンスを企画しました。
低予算小規模なカンファレンスですが、全国各地で活躍しているD.I.N.G.O.インストラクターたちが犬との暮らしに関するアイデアや研究を発表します。
少しでも多くの方に来てもらえればと思います。
D.I.N.G.O. Conference2012