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クリッカーの2度打ちは有りか

クリッカーは本来ポジティブ・ブリッジです。
ブリッジは二次強化子です。
二次強化子は直後に一時強化子が出現しなければ、二次強化子として成立しなくなります。

時々アジリティなどで「励ましのクリック」と称して、一時強化子を与えないままクリッカーを繰り返して鳴らすトレーニングを見ることがありますが、果たしてこれは有効でしょうか?

連続して鳴らすクリックはキープ・ドゥーイング・シグナルということになります。使われている方がそこまで理解していらっしゃるのかはわかりませんが、理屈ではそうなってしまいます。

これ、実はある程度有効です。
二次強化子はいきなりその効果が消えるわけではなく、徐々に減っていくし、キープ・ドゥーイング・シグナル自体も強化子になるはずだから。

でも犬から見た時のクリックの意味が、少し多目的すぎると思います。

人の発するもっとも多目的な信号は、恐らく犬の名前だと思います。
ある時は愛情表現。ある時は叱咤。ある時は呼び戻し。ある時はアイコンタクト・・・。

こういった多目的な信号を受け取った犬は、さまざまな状況から、その時に最適な行動を選ばなければならなくなります。声の調子や環境の変化などから状況判断を迫られるわけですね。

犬にはこういった判断ができる能力があると思います。
あると思いますが、何かを学習してほしい時にその能力を使わせるべきだとは思いません。
ブリッジとして瞬間を切り取る信号はシンプルでシャープなほど良いはずです。

犬の反射神経は人より数倍優れているから、言葉よりも早くシャープなクリックで知らせなくちゃ。そしてそんな時には余分なことを考えさせないようにしなくちゃです。

「あれ?今度のクリックはご褒美が出るのかな?、それともこれであっているという意味にすぎないのかな?」なんて考えさせてはいけないと思うのです。

どうしても二度打ちしたいという方は、ブリッジとしての使用をやめ、キープ・ドゥーイング・シグナルに徹底するべきでしょう。
でもそれならクリッカーとは別にホイッスルを使うことを私はお勧めします。

ちなみにウィーブポールで「ウィ~~~~~~」と言っている方をよく見かけますが、あれはキープ・ゴーイング・シグナルに該当します。
そのシグナルが出ている間行動を維持し、シグナルが消えたら終わりというボブ・ベイリーが作業動物に用いる、あの合図です。
ということは息が切れたりして「ウィ~~~~~~」が聞こえなくなると、その行動が消えたり、少なくとも犬が不安になるはずです。
できれば最小限のシンプルなキューで12本のウィーブを正しく通ることを教えておいた方が確実な気がします。
またハンドラーが並走することもプロンプトから始まり、すぐにキューになるはずですから、将来遠隔操作でのウィーブを目指すのなら、プロンプトはキューになる前に引き上げる必要があるのは明白ですね。そうでないと引き上げにとっても苦労するでしょう。

犬から見て何がキューになるか。どれだけシンプルなキューで犬に伝えられるか。
これはハウスマナーでもドッグスポーツでも作業犬でも、すべてに共通する大事なテーマですね。

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のいぱぱ

Author:のいぱぱ
やっぱりサモエドが大好きです。
抜け毛がものすごくても、頑固でマイペースでも・・・。
運命の出会いで一緒に暮らすことになったルフトと、最新の科学的な理論をバックボーンに信頼関係を楽しく築いて行きたいと思います。

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