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マーカーとキープゴーイングシグナル、そしてフィードバック

B.F.スキナー直系のボブ・ベイリーを日本に招いてセミナーを開催して以来、キープゴーイングシグナルの概念がだいぶ広まったように思います。
ただ、主にクリッカーで用いられる「マーカー」と「キープゴーイングシグナル」を混同している話をよく耳にします。そしてその混乱に拍車をかけているのが、フィードバックという概念です。

フィードバックに関して言えば、多くの人が「ちゃんと犬を褒めましょう」とか、「今褒めて」などと「ほめる」という言葉を多用しますが、さて、犬にとって「褒められる」というのはどんな意味があるのでしょう?あるいはハンドラーは褒めることにどんな意味をもたせようとしているのでしょう?
どうも科学的なトレーニングを学んでいる人であっても、褒めるということになると、つい感情的にとらえているふしがあります。

改めて学習の理論を整理してみれば、強化子が出現することによって直前の行動が強化されるのが正の強化というオペラント学習です。そして一次強化子を約束する刺激は二次強化子ということになります。(ちなみに二次強化子を約束する刺激は「三次強化子」、次は「四次強化子」・・・と続いていくのではなくて、あくまでも一次強化子につながっていく刺激を二次強化子と総称するようです)

私たちのトレーニングでは、クリッカーの音が二次強化子の代表的な刺激であると思われています。
ところが日頃からモチベーショナルトレーニングを行っている場合、普段の生活の中には二次強化子があふれているのです。
「イイコ」という言葉、これもいきなりグリーンドック(何のトレーニングも受けていない犬のこと)に言っても何のことやらさっぱりわからないわけです。たとえばいつも「イイコ」と言った後に体罰を加えていれば、あるいは大好きなものを取り去っていれば、嫌子になります。
「イイコ」だから「お留守番していてね」といって不安がる犬を残して出かけていれば、「イイコ」はいやな言葉になるわけです。
つまり強化子と条件付けをしてはじめて「イイコ」は犬にとって良い刺激、二次強化子になるんですね。
話をややこしくしてしまいそうですが、そういう考え方で分ければフィードバックとは二次強化子という分類になります。

そしてもうひとつ。連続するフィードバックは、もはやキープゴーイングシグナルと同等だということも知っておかなければなりません。
ボブ・ベイリーの例では、「ピーという音(超音波を用いたりします)が鳴り続けている限り、その行動は正しいから続けなさい、最後に報酬が得られます」という意味になります。
それはすなわち、ピーが止まったらその行動は間違いという意味で、好きなものが消える(遠のく)から負の弱化が起こります。
つまり連続したフィードバックはキープゴーイングシグナルであり、それは極めて引き揚げの困難な、「連続したキュー」となってしまうのです。

ボブの行ってきたトレーニングではキープゴーイングシグナルの引き上げは最後まで必要ありません。同時にきわめて科学的な、この手法においては、シグナルの発信者は飼い主である必要もありません。もっと言えば人間である必要もなく、事実コインを入れるとアヒルがギターを弾く機械などは、自動販売機さながらに作動し、そこに操作する人間はいなかったわけです。
これが何を意味するかというと、こういったトレーニングをどれだけ続けてもヒトと動物の絆は造れないという事実です。
「イイコ」と声をかけるのは、人間側にとっては極めてヒューマンな、ハートウォーミングな行為ですが、実際は少なくとも報酬が食べ物である限り、絆づくりには貢献しないということが理論的に見えてきます。

プロンプトは使い続けること(といってもたった3~4回)ですぐにキューに変わってしまいます。だから誘導などのヒントは引き上げられないのですが、それと同じように私たちはフィードバックにも落とし穴があることを知っているべきでしょう。


さて、マーカーとキープゴーイングシグナルの違い。これはもう明白ですね。マーカーは一瞬の行動を切り取って、その行動に対して報酬を与えるための刺激です。クリッカーの音などがそれにあたります。
そしてマーカーにはキープゴーイングシグナルの意味が入っていては、都合が悪いということになります。都合の悪い最たるものは、解放が含まれているかいないかの違いです。マーカーはその時点で開放し一次強化子を与えるのが原則です。一方キープゴーイングシグナルには解放の意味が含まれていては意味をなさないのです。

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近所にあるズーラシアという動物園では、スタッフの方たちが動物のQOL向上を目指して積極的にクリッカーの導入を試みています。この象もクリッカートレーニングを楽しみにしている動物の一頭です。
ところがまだマーカーとキープゴーイングシグナルを明確に分けるところまではいっておらず、その辺の解釈の違いは賢い象自身にゆだねられています。きっと研究を続けているスタッフが徐々により効果的な方法を見出してくれるだろうと期待していますが、実はイルカトレーニングなどでも、まだまだこういった使い分けの概念は理解されていないように思います。

進化する科学的トレーニング。その過渡期にいる私たちが、愛犬とのより深い信頼関係を目指して、積極的にこれまでのトレーニングの矛盾を解明し、よりストレスの少ないコミュニケーションを実践していければいいですね。

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のいぱぱ

Author:のいぱぱ
やっぱりサモエドが大好きです。
抜け毛がものすごくても、頑固でマイペースでも・・・。
運命の出会いで一緒に暮らすことになったルフトと、最新の科学的な理論をバックボーンに信頼関係を楽しく築いて行きたいと思います。

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