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映画いぬばか進行中

スタッフや協力してくださった皆さん共々、いろいろな意味ですごくやりがいがあり、しかしとても厳しい仕事だった映画いぬばかは、順調に編集が進んでいるようで、ネット上にも情報が徐々に出始めました。
オフィシャルサイト(映画いぬばか公式オフィシャルサイト)もいつの間にか更新されていましたが、まだ内容は無いよう・・・・・で。でもキャストは公開されました。

そして撮影中の写真も掲載され始めました(Walkerplus)。
犬を担当した私たちへの取材もこれからぼちぼちあるようです。

今話題の犬映画といえば「HACHI 約束の犬」ですが、同ニュースにリチャード・ギアの興味深いコメントが載っています。(Walkerplus
「ドッグトレーナーのギャラが自分より高かった」というところはぜひPさんに見ていただきたい(笑)ですが、ここで大事なのは犬の扱い方、そして理解ある撮影方法です。

映画のプロモーションでも盛んにPRしていましたが、宣伝通りりだとすれば、「HACHI 約束の犬」はおそらく出演犬のトレーニングでもっとも進歩的な考え方が導入されている映画だと思います。

それはAHA(アメリカ動物愛護協会)の定める「撮影動物への対処基準」をとても大切にしているからです。

私たちもD.I.N.G.O.設立以来このAHAの基準を尊重したタレント犬トレーニングを広めようと活動してきましたが、なかなか日本の撮影業界には変化が現れませんでした。

しかし常盤貴子さんや柴咲コウさんなど、有名なタレントさんが所属するスターダストプロモーションの関連事業であるスタードッグスクール(スタードッグスクール)のプログラム制作からクラス運営までをD.I.N.G.O.でお手伝いさせていただくようになったことを皮切りに、徐々に私たちが係る撮影業務でも制作サイドのご理解を得られるようになってきました。

そして映画いぬばかです。

プロデューサー、監督から、出演されているキャストの方々、そして制作チームの皆さんまで、完全に私たちのポリシーを理解した上で仕事を任せていただきました。

生体販売するペットショップが舞台という、内容によっては眉をひそめられそうな舞台設定にもかかわらず、進歩的なレスキュー活動家エリザベス・オリバーさん(ARK代表)が出演犬に関して私たちを信じて協力してくださったのも、「いぬばか」原作者のこだわりに加えて、映画制作スタッフのAHA基準に準じたD.I.N.G.O.のポリシーに対する理解と賛同があればこそでした。

この意義は測り知れません。
いろいろと良い影響を社会に与えられる可能性にわくわくします。
ボランティア協力してくださった飼い主さんの想いもそこにあるはずです。

AHA基準に準じた人道的なトレーニングメソッドや撮影現場での犬たちのケアに関しては、タイトなスケジュールの中でも「HACHI 約束の犬」に負けないくらい、世界トップクラスの環境を提供できたと思います。

そして、この映画は、おそらく世界で初めてストーリーの中でK-9ミュージカルフリースタイル(ドッグダンス)が扱われている作品です。

委員の東まゆみさんを筆頭にK-9ミュージカルフリースタイルのクラブ(PAWFECT)が全面協力した成果も早く見てみたいものです。

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AHA基準

いつも大変お世話になっております。

日本の映画業界では、まだまだ遅れたところがあるのは否めないですが…

わたしは子供の頃からハリウッド映画の犬トレーニングを追ってきて、ずっと前からハリウッド式トレーニングとAHA基準を意識して来ました。

そこで、厳しいことを言うように思われるかもしれませんが、「いぬばか」はAHA基準に達していないし、おそらく「Not Acceptable」の評価になるのでは、と思っています。

AHAの基準は、ただのトレーニング部分、どういった方法を使っているか、というところだけで判断されるわけではありません。その犬が映画の撮影までにどの程度、映画撮影に馴染めるように、準備をされていたか、というところも大きく関わって来ます。

そして、普段からトレーニングをされている犬ではない犬を使う場合、何ヶ月の準備期間を経てはじめてセットに連れて行かれます。そして、飼い主から離す場合は、トレーナーとのBondingの期間も長くとられます。

そんななか、飼い主からはなされ、そして撮影準備期間がわずか2週間、そして現場でも待てずテグスで繋ぐ、などといったことは、AHA基準では考えられないことだと思います。「大人の事情」は色々あるし、日本の映画界がまだまだ、トレーナーの言うことを全て聞いてくれるわけではないですし、難しいところはあると思います。ただ、度々出てくるAHAの名前、に疑問を思っていて… AHA基準には実は準じていなかった、でもこれから頑張る、といった表現の方がよいのでは?と思いまして… 現場で、ノーを強く言えること、それもまた、大切だと思っていたりします。

ただ、私は、映画というのは、いきなり犬にやらせるのは、準備が足りてない場合はストレスになると思っています。逆に、徐々に慣らしていくと、現場が大好きで行くこと自体が楽しみ、というふうになると思っています。

そうういった好きになる!というところに達する前にいきなり始まり、台風のような撮影期間を経て、好きになれる前に終わり、まったく違った普通の家庭犬の生活に戻される。それがはたして、犬的にどうなのかな?というのが個人的な意見です… それが犬にとっていい経験となったのか?といいうのも疑問に思えてしまうのです。

凄く、志が素晴らしいと常々思っています。でも、急ぎすぎもよくないと思います。AHA基準はどういったものか、というのをもう一度考え直すというのも、いいのでは?と少し思いまして。何より、犬にストレスを与えないのは、トレーニング方法はもちろん、準備時間と過程が大切だと思いますので!

お互い、犬達のためにも、頑張りたいですね!前進あるのみです!

それでは、今後もよろしくお願いいたします!キャンプも楽しみにしています!

アイラっちさん

真摯なコメントありがとうございます。

> 子供の頃からハリウッド式トレーニングとAHA基準を意識して

ハリウッド式という考え方があるのかはわかりませんが、一つ、AHA基準というものがあるということは積極的に紹介していきたいですね。
焦ることはないですがのんびり構えるものでもないと思いますので、チャンスがあればどんどん紹介していきたいです。

私たちの関わった映画が認定を得られるかどうかという点に関しては、制作側で具体的にそれを考えていただいたわけでもなく、従って資料を取り寄せ、照合したわけでもありません。

でも私たちは私たちなりに解釈し、現状可能な範囲での提案に対してご理解をいただき、そういった考え方を尊重してくださったことに対してとても感謝しています。

これは現状でAHA基準を満たしていてもいなくとも、日本の撮影現場におけるとても大きな一歩になりえると思っています。
そしてそういった判断をしてくださった制作会社に対し感謝の気持ちを持っています。

一方で私たちなりのこだわりから、たとえば飼い主さんからお預かりした犬とは信頼関係は作るけれども絆(Bonding)は極力作らないという考え方があります。
これは保護活動などで一時預かりをされる方にも強くお勧めしていることですが、ヒトとのルールに基づく信頼関係は作るけれども絆を作らないことで、一時的に預かっている人間から離された時の犬の喪失感(保護犬であれば、「また捨てられた」と思ってしまうこと)を最小限にとどめるためです。

従来の保護活動では捨てられた犬に愛情を(直球で)たっぷり注いでしまっていました。そしてそのためにようやく保護活動家に心を開いた犬は、新しい飼い主が見つかった時点で再び保護活動家から捨てられるという喪失感を味わう状況になってしまっていました。

そこで特にクリッカートレーニングなどに代表される行動分析学に基づいた学習理論を正しく用いることにより、愛情を原動力としながらも保護犬との関係造りを絆ではなく、ルールによって構築することが重要であるという考え方に移ってきました。
正しいクリッカートレーニングでは、そこにルールはあるけれども絆は必要ないからです。
これはスキナーボックスや、ボブ・ベイリーのABE(アニマルビヘイビアエンタープライズ)で行っていた機械による動物トレーニングのように、人間が存在しないマシーンであっっても、あるいはそのほうがミスが起こらないために動物の学習が促進されるという事実で明らかです。

またテグスの使用に関しては、それが単に透明なリードであると考えればわかりやすいと思いますが、主に安全管理のために用いることができると思っています。
逃げようとする犬を押さえつけるためではなく、命綱としての係留です。

実際通常のテグスでは犬が本気で走ればすぐ切れてしまいますし、逃げようとしている犬では演技的にまともな撮影はできないでしょう。
そもそも最近の高解像度な映像ではテグスが見切れてしまいますので、主にそういった理由から逃げる犬をとどめるために使用することは無いと思います。



撮影動物のストレスを最小限にとどめ、なおかつ撮影本来の目的である、視聴者に感動を与える作品作りに貢献することが私たちD.I.N.G.O.の目指すトレーナーの姿です。

そのためにAHAの基準を理解するだけではなく、常に動物に関する最新の知識を身に着け、同時に撮影側の機材やテクニックも学び続ける必要があると思います。

動物だけを理解していても最新のカメラの仕組み、撮影フォーマット、レンズの特性、照明の種類、音声さんの用いるマイクの仕組みと特性、編集の機能とプロセスなどを知らなければ、動物トレーナーとして撮影クルーにリクエストできることとできないことを見分けることが不可能だからです。

フィルムで撮影しているのかSDかHDか、保存はテープ化メモリーか、解像度は?そしてシャッタースピードは?
あるいはレールドリーの動き、ステディカムの特性、クレーンショットで監督が狙いたいこと、etc.
こういった知識がない動物トレーナーは車のことを何も知らずに道路を作ろうとしている人のようです。
学ぶことはたくさんありますね。


今回の撮影に関しては、ジョーダン・ヘプナーなど、まさにハリウッド式(?)トレーナーともコンタクトを取りながらプランを立てました。

私たちにできる範囲でできることをする。
AHA基準の存在を業界に対して常にアピールしていく。
そういったポリシーは今後も貫いていきたいと思います。

いつも大変お世話になっております。

丁寧なお返事、ありがとうございました。

ただ、やはりとても疑問に思うことがあるのですが…

フィルムドッグキャンプでは、犬とトレーナーを、最後にハリウッドトレーナーさんが評価されていましたが、その評価が、スチールができる、や映像の仕事の小さい役ができる、や映像の仕事の主役が演じられる、といった評価、で分けられていたかと思います。

それは、やはり撮影現場に実際に使うにはいかに、「準備」が必要か、という意味では無いか?と思うのですが。実際のところ、インストラクターさんが長年トレーニングした愛犬でさえ、主役を演じられる評価を得られるのは難しかった状況だったと思います。

映画では、そういった意味では評価されたとなれば、スチール撮影なら、というレベルだったのでは?と思える犬(業界は狭いので、色々と話は聞こえてくるのですが、撮影現場では、驚くほどトレーニングされてない犬に素人目から見えた、という話を聞きました)を、映画に使った、ということになるのですが、そうなると、ハリウッドトレーナーが行なっていた内容はなんだったのか?と非常に矛盾しているように思えるのです。

やはりまずは、準備されていて、そして、実際の撮影現場でストレスの無いように扱う。準備がないまま使うのは、どう頑張ってもストレスを与えていると思うのです。そうなると、本当に、トレーニングで犬を映画用に準備する、という必要が無い?いきなり素人犬を連れていっても、トレーナーが扱っていればOK?と思えてしまうのです。

ハリウッドトレーナーたちの下積みと、経験とは、日本にいるトレーナーとでは、全然レベルも経験ちも違うし、比べてはいけないレベルだと思いますし。フィルムドッグキャンプに何度も参加しているからなおのこそ、あれ???って思えることが多くて…。

AHA基準を訴えることには賛成ですが、やはり、今回の映画に関しては、いくら言葉でのアドバイスがあったにしろ、実際にハリウッドのトレーナーさんが現場にいたわけでもないですし、やはり、AHA的には、ACCEPTできない内容としか思えないので、ましてや、実際の現場での話しは色々なところから、まわりに漏れているのも事実ですし、あまりAHA基準どおりにやった、というのは言わない方がいいと思うのです。むしろ、あ、そのレベルで映画できちゃうんだ!って思われかねません。これからのことを考えてこそ、今はまだ、基準に満たそうと頑張っているところだけど、まだまだです、という感じでいないと、正直、あれぐらいで大丈夫ならうちでもできる、と基準を下げかねないと思うのです。

トレーニングして準備することの意味が無くなる、ように思えてなりません… マスメディアは力が強いからこそ、是非とも発言には言葉を選び、誤解を受けないようにお願いできたらと思います。現場にいるスタッフというのは、他にも色々な仕事に関わっていたりします。そして、話というのは本当に、とくによくないことの方が早くまわりやすい。(この点は、監督がキャンプでも注意されていましたよね)私も現場で、本当に色々な犬映画の裏事情の話を耳にしました。そこに立ち会った方々が、色々と話してくれるので、あの映画はこうやってたんだ、あの犬はこうだったんだといったことも、いっぱい耳にします。本当に、世界は狭いので、今後先がまだまだあるからこそ、是非とも過信せず、慎重にお願いできたらと思います。

撮影というのは、たしかにどうにか「のりきる」ことはできます。でも、大変だったけど乗り切ったより、ちゃんと事前にトレーニングと準備がされていてからこそ、まさか犬でこんなに撮影がスムーズにできるとは、思いもしなかった、という、互いがストレスの無い撮影現場になると思いますので。是非とも、今後のためにも、よろしくお願いいたします。

アイラっちさん

コメントありがとうございます。
風評というのは怖いですね。特に実際には見ていない人がそれによって影響を受けるというのが怖いです。
私たちもいろいろと耳にしますが、それは第三者を通じてのこと。少なくともそのレベルでは自分のところでストップするのがマナーだと思います。

ただ評判、というのも同類の口コミですから、あながち良くないことばかりではありません。プロモーションと考えればやはりできる範囲でできることをし続け,
何らかの(良い)影響を広めていきたいというのが私たちの変わらざるポリシーです。

昔開催したフィルムドッグキャンプでの評価基準に関しては、今回のこととあまり関係ないと思ってください。あれはトレーナー育成的な観点から、それぞれの担当した犬(愛犬)のレベルを評価しただけであって、準備が云々という話と混同されても返答に困ります。
また、名選手と名コーチが別であるようにフィルムドッグとフィルムドッグトレーナーというそれぞれの立場で評価は本来異なるものですね。

さて、映画というのはおっしゃるように様々なレベルで成り立つものだと思います。
豊富な予算で周到な準備時間をかけ、徹底的にクォリティを追及していくものから、予算の少ない自主制作映画まで、そのレベルは様々です。
一方で準備の必要な演技とそうではないシーンというものもあります。
野生動物のドキュメンタリーでは、当然ですが全く動物のトレーニングというのはしません。自然な行動にこそ感動があるからでしょう。
今回の映画でもおそらく監督は極力自然な、犬本来の姿を求めた部分もあったのだと思います。
Hachiでは特にその辺を意識して、演技ではなく犬の自然なふるまいを待ったということが書かれていました。
作り込む演技にはやはり準備が必要でしょう。では準備期間が短かったらどうすればよいか。これは監督以下かかわるクルーがみんな協力して、時にはシナリオの修正も辞さない覚悟で、できる限り自然な姿を活かす撮影をすることに尽きると思いますし、今回の制作側が実際にそういった覚悟で臨んでいたことはとてもうれしく、またありがたかったです。

今回の映画では多くの制約がありました。ハリウッドの大きな映画では6カ月の準備期間があったと聞きましたが、それに比べればあまりにも短い準備期間なのもその一つですね。

私たちが関わらなければ別の方々がかかわって映画は製作されたことでしょう。
それが結果的にどうなるのかはわかりませんが、少なくとも私たちが係る以上、私たちなりのベストを尽くすという以外にお伝えできることはありません。
時間的な制約しかり、予算的な制約しかりです。
降りることもできたし、できる範囲内でベストを尽くすこともできたわけです。
そして私たちは後者を選びました。
それは良くも悪くも波紋を呼ぶであろうことを見越してです。話題になると思ったからです。
準備不足であろうと、基準を満たしていなかろうと、チャンスがあれば私たちの考え方やAHA基準の存在をアピールしていきたいという思いは、D.I.N.G.O.設立時から変わらないのです。第一回のフィルムドッグキャンプにアン・ゴードンを招き、そしてAHAの基準を紹介したときから私たちなりに続けている活動なのです。

現場からの話がどこからどのように伝わっているのか、知る由もありませんが、私たちなりのポリシーを貫いている自信はあるので、結果としてクォリティレベルやらの批判があればそれはそれで受け止めようと思いますが、映画芸術という、見る人に喜びや感動を与える素晴らしい文化に犬を通じてかかわれること、そしてそれが様々な意味で人と犬のQOLにつながっていくことの意義を見失わずに活動を続けていきたいと思います。
なお解釈の違いだと思いますが、AHAの基準通りにやったという言い方はするつもりがありません。基準に準じて、ということで標榜していると解釈していただければ幸いです。しかもそれはコンセプトに賛同しているということで詳細に関して基準を満たすということではなく、ポリシーを同じくするという姿勢です。
提携によってD.I.N.G.O.のプロフェッショナルがロゴの使用を認められているDELTA協会のガイドラインを標榜していることと同じスタンスなんです。
プロフィール

のいぱぱ

Author:のいぱぱ
やっぱりサモエドが大好きです。
抜け毛がものすごくても、頑固でマイペースでも・・・。
運命の出会いで一緒に暮らすことになったルフトと、最新の科学的な理論をバックボーンに信頼関係を楽しく築いて行きたいと思います。

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