動と静
脳の仕組み、記憶のメカニズムを考えると、私たちはもっともっとトレーニングを科学的に見つめなおさなければいけないなぁとつくづく思います。
その最たるものが、教えたいことの混同。
4つのD、つまり距離と時間と環境と難易度を同時にレベルアップしてはいけないという基本はおなじみです。
さらに私がいつも大事にしているのは「新しいことを教えるプログラム」と「教えたことを確実にやってもらうプログラム」を分けて考えること。
新しいことを覚えてもらうときは、クリッカーが大活躍し、それを覚える動機としておやつもバンバン使います。
いっぽう、教えたことをいつでもどこでも着実にやってもらうプログラムは、その動機が目の前のおやつであってはならず、しいて言えば「犬の責任」的なコンセプトが大事になります。
この二つのファクターをキチンと別のプログラムとしてトレーニングしてあげると、犬には最もわかりやすく、したがってストレスも少ない学習を提供してあげることができます。
さて、今回のテーマは、「動と静」ダイナミックとスタティックという、ちょっと工学的なテーマです。
これを思いついてからもうずいぶんになりますが、いまだに世間ではあまり聞かないので、ちょっと一般的な考え方ではないのかもしれませんが、自分の中では非常に重要なファクターと位置付けているものです。
簡単に言ってしまえば、犬に求めているものが動、つまりダイナミックなものなのか、それとも静、つまりスタティックなものなのかによって、トレーニングの考えた方、手法が違ってくるというものです。
ここで大事なのは、「犬に求めているもの」を具体的に、そして明確に定義することです。たとえば「いい子にしていてほしい」というのは最悪の要求です。「いい子」の定義なんて、そのままでは犬には一生わかりませんから。
求めている(最終的な)ゴールが「動き」なのか「静止なのか」それを正しく見分けなければなりません。
たとえば「おいで」。
すみやかに走って来て欲しいけど、これは最終ゴールが正面停座です。ですから動きではなく静止、つまりスタティックな要求です。正面停座するまでのスピードアップはまさに4つのDの時間に当たるもので、同時に教えるのではなく分けて教えるべきプログラムとなります。
ちなみにスピードアップにはクリッカートレーニングで用いられる「シェイピング」の考え方がしっくりします。時間短縮はシェイピングなのです。
ヒールポジションで歩くは、犬にとって行動ですから一見ダイナミックですが、求めている最終ゴールはハンドラーとの相対的に一定した位置関係です。「歩く」という動作はそれを達成するために犬が自らする行動であり、ハンドラーが要求したり教えたりする必要がない部分と捉えます。あくまでも最終ゴールは、たとえば「犬の顔がハンドラーの左足から真横に10cmに常にあること」となるので、その関係だけでいえば、これもスタティックな要求となります。
同様にレトリーブも取って来ることを求めているのではなく、「指定されたものを咥えたままの正面停座」が最終ゴールですからスタティック。それを達成するために犬は対象物に走って行き、それをしっかり咥えて戻ってくる必要がありますが、それは犬が判断することで、スピードアップのシェイピング以外には環境設定だけで犬に判断してもらえる部分です。
意外かもしれませんが、教えたい最終ゴールをそんな風に明確に考えると、本当にダイナミックな要求というのは少ないんです。
レトリーブで最終ゴール手前の一連の行動がよくわからない犬には、そのやり方を教えてあげる必要があるかもしれません。でもそれは最終ゴールという目的を達成するための手段に過ぎず、本来知能の高い動物である犬には判断できる領域だと思います。
それはまるで、「おいで」と言った時に4本の足の運び方をわざわざ犬に教えてあげなくても犬自身が勝手に学び、判断し、動かせることとおんなじです。
教えたいのは最終ゴール。途中のやり方がわからないなら手段も教える必要がありますが、それは別メニューです。同時にやれば犬は混乱し、プロンプトのダークサイドに陥る危険をはらみます。
動と静、今自分が教えたいことが何なのかもう一度見つめなおし、それに最もふさわしいトレーニング法を用いてあげることで、犬の負担は最小限に低減されると思います。
その最たるものが、教えたいことの混同。
4つのD、つまり距離と時間と環境と難易度を同時にレベルアップしてはいけないという基本はおなじみです。
さらに私がいつも大事にしているのは「新しいことを教えるプログラム」と「教えたことを確実にやってもらうプログラム」を分けて考えること。
新しいことを覚えてもらうときは、クリッカーが大活躍し、それを覚える動機としておやつもバンバン使います。
いっぽう、教えたことをいつでもどこでも着実にやってもらうプログラムは、その動機が目の前のおやつであってはならず、しいて言えば「犬の責任」的なコンセプトが大事になります。
この二つのファクターをキチンと別のプログラムとしてトレーニングしてあげると、犬には最もわかりやすく、したがってストレスも少ない学習を提供してあげることができます。
さて、今回のテーマは、「動と静」ダイナミックとスタティックという、ちょっと工学的なテーマです。
これを思いついてからもうずいぶんになりますが、いまだに世間ではあまり聞かないので、ちょっと一般的な考え方ではないのかもしれませんが、自分の中では非常に重要なファクターと位置付けているものです。
簡単に言ってしまえば、犬に求めているものが動、つまりダイナミックなものなのか、それとも静、つまりスタティックなものなのかによって、トレーニングの考えた方、手法が違ってくるというものです。
ここで大事なのは、「犬に求めているもの」を具体的に、そして明確に定義することです。たとえば「いい子にしていてほしい」というのは最悪の要求です。「いい子」の定義なんて、そのままでは犬には一生わかりませんから。
求めている(最終的な)ゴールが「動き」なのか「静止なのか」それを正しく見分けなければなりません。
たとえば「おいで」。
すみやかに走って来て欲しいけど、これは最終ゴールが正面停座です。ですから動きではなく静止、つまりスタティックな要求です。正面停座するまでのスピードアップはまさに4つのDの時間に当たるもので、同時に教えるのではなく分けて教えるべきプログラムとなります。
ちなみにスピードアップにはクリッカートレーニングで用いられる「シェイピング」の考え方がしっくりします。時間短縮はシェイピングなのです。
ヒールポジションで歩くは、犬にとって行動ですから一見ダイナミックですが、求めている最終ゴールはハンドラーとの相対的に一定した位置関係です。「歩く」という動作はそれを達成するために犬が自らする行動であり、ハンドラーが要求したり教えたりする必要がない部分と捉えます。あくまでも最終ゴールは、たとえば「犬の顔がハンドラーの左足から真横に10cmに常にあること」となるので、その関係だけでいえば、これもスタティックな要求となります。
同様にレトリーブも取って来ることを求めているのではなく、「指定されたものを咥えたままの正面停座」が最終ゴールですからスタティック。それを達成するために犬は対象物に走って行き、それをしっかり咥えて戻ってくる必要がありますが、それは犬が判断することで、スピードアップのシェイピング以外には環境設定だけで犬に判断してもらえる部分です。
意外かもしれませんが、教えたい最終ゴールをそんな風に明確に考えると、本当にダイナミックな要求というのは少ないんです。
レトリーブで最終ゴール手前の一連の行動がよくわからない犬には、そのやり方を教えてあげる必要があるかもしれません。でもそれは最終ゴールという目的を達成するための手段に過ぎず、本来知能の高い動物である犬には判断できる領域だと思います。
それはまるで、「おいで」と言った時に4本の足の運び方をわざわざ犬に教えてあげなくても犬自身が勝手に学び、判断し、動かせることとおんなじです。
教えたいのは最終ゴール。途中のやり方がわからないなら手段も教える必要がありますが、それは別メニューです。同時にやれば犬は混乱し、プロンプトのダークサイドに陥る危険をはらみます。
動と静、今自分が教えたいことが何なのかもう一度見つめなおし、それに最もふさわしいトレーニング法を用いてあげることで、犬の負担は最小限に低減されると思います。
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No title
あぁ まさしく科学ですね! オイデともってこいとヒールをお客様に教える日常で、犬に求めるものを単純にすることで犬は 「わかったよ」といってくれます。
確実に、短時間で、きれいに、できるようになる。人が教える前に頭の中を整理する必要がありますね。
この話をすると半分の人ががに目からウロコの顔になります。
半分はおそわったからしてみようです。
でも結果がすぐにでます。「うちの子天才!」
犬に余計なストレスをかけないスマートなトレーニングですね。
人がスマートにならなくては!
確実に、短時間で、きれいに、できるようになる。人が教える前に頭の中を整理する必要がありますね。
この話をすると半分の人ががに目からウロコの顔になります。
半分はおそわったからしてみようです。
でも結果がすぐにでます。「うちの子天才!」
犬に余計なストレスをかけないスマートなトレーニングですね。
人がスマートにならなくては!
グラままさん
どうお伝えするかが問題ですが、いらぬストレスを犬に与えないためにも大事なことですよね。
日々精進ですね。
日々精進ですね。