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クリケット

 クリッカートレーニングの魅力や奥の深さをずっと伝えてきて、最近は本当に広まってきたなぁというのを実感するようになりました。
 使い方は人によっていろいろですが、深く研究すればするほどその価値は上がっていくように思います。所詮「カチッ」と音がするだけの道具なので、使い方がすべてだから。

 すっかり広まったと書きましたが、実際にはだれが発明したもので、どのように動物のトレーニングに広めて行ったかを知っている方は少ないでしょう。

 こんなクリッカーを知ってますか?
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 U.S.の刻印がある総金属製のクリッカー、これは軍用で当時はクリケットと呼ばれていたようです。クリケット自体はもう少し前から子供のおもちゃとしては存在していたんでしょうね。
 第二次世界大戦のさなか、D-DAY、つまり1944年6月6日に連合国軍がナチス占領下のヨーロッパに侵攻を開始した、映画ノルマンディー上陸作戦で有名な「オペレーション・オーバーロード」の際に、暗闇で味方同士を確認しあうために用いられたもの(のレプリカ)です。

 おそらく相当数が量産され、連合軍すべての兵士が首にぶら下げていたのでしょう。1回鳴らしたら相手が2回返すというルールで識別していたらしいですが、映画の中ではたまたまドイツ兵が銃のリロードをして「カチャカチャ」と2回音を立てたために仲間と勘違いするというシーンがありました。

 当時から世界で最も高度な動物トレーニングをしていたと思われる、アニマルビヘイビアエンタープライズ(ABE)では様々な動物のトレーニングに、このクリケットを応用してきました。
 犬も猫も鳥も、その他140種類もの動物がクリケットによってトレーニングされていたのです。

 ずっと後になって、もとイルカのトレーナーであったカレン・プライヤー女史が家庭犬のトレーニングにおけるクリッカーの有用性を広め、それはClickerExpoという形で、現在まで続いています。

 一方、アニマルビヘイビアエンタープライズの代表を務めたボブ・ベイリー氏も健在で、犬のトレーナーのための「チキンキャンプ」という、鶏のトレーニングを通じてクリッカーを習得するプログラムが今でも行われています。

 どちらが先だったかといえば、もちろんアニマルビヘイビアエンタープライズでしょう。軍用や業務用のより高度なトレーニングをどんどん確立して行った組織ですから。

 幸せなことに私はカレン・プライヤー女史ともボブ・ベイリー氏とも面識があり、クリッカートレーニングの歴史を肌で感じさせてもらうことができました。そしてお二人の知識も学びながら、D.I.N.G.O.としてずっと独自の探究を続けてきているわけです。

 たかがクリッカー、されどクリッカー。本当に奥が深くて面白いですよ。

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のいぱぱ

Author:のいぱぱ
やっぱりサモエドが大好きです。
抜け毛がものすごくても、頑固でマイペースでも・・・。
運命の出会いで一緒に暮らすことになったルフトと、最新の科学的な理論をバックボーンに信頼関係を楽しく築いて行きたいと思います。

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