ニューロンのシナプスが~
脳細胞の神経回路シナプスがどんなふうに出来るかについて色々書きましたが、最近仕入れた情報で「シナプス競合」という、無視できない仕組みについて知りました。
前回「シナプスは一時大量に作られ、不要なものが消えていくプロセスを経て脳が出来ていく」というようなことを書きましたが、その際にシナプス同士が競合するという現象があるのだそうです。
これはたとえば子供の頃に右目に眼帯をしていた経験を持つ子が、臨界期を過ぎて成長する過程で修正できない弱視を抱えるのですが、途中で右目から左目に眼帯を移した場合、左目に弱視が残り、右目は正常になるということから確認されています。さらに、両目に眼帯をしていた場合は、どちらも弱視にならないのです!
複雑な脳の仕組みですが、小犬の育て方に置き換えて考えると、以下のことが重要だと解ります。
1. 臨界期(16週齢)までの刺激(経験)はそれに関わるシナプスを定着させるのに貢献する
2. ただし、シナプス競合する刺激が前の刺激に取って代わった場合、前の刺激に対するシナプスは衰退してしまう
3. したがって必要と思われる刺激に関しては、少なくとも臨界期が終わるまで継続して与えられなければならない
出張から帰り4日ぶりに再会したルフトはすごく喜んでくれました。ただちょっと興奮し過ぎなので、テンションが上がりすぎないように気を遣います。
シナプスのことが気がかりで、以前十分に慣らしたはずのぬいぐるみをルフトの前に出してみました。
最初ルフトは激しくビビリました。予想以上の警戒です。
あれれ、以前乗っかっていたぬいぐるみ(梅吉)なのに・・・
まさにシナプス競合が起きて、ぬいぐるみを認識する能力が却って低下しているのでしょうか?
口角が引きつれ気味で、体のバランスが外に傾いています。つまり怖いのです。
ここで問題なのはフライトンディスタンス、つまり逃げる距離、そしてそこからどれだけ早く回復し立ち向かっていくかという、かなり遺伝的な資質ですが、小犬の割には復活が遅いようです。
そこから解るのは、ルフトは用心深いタイプで、やや保守的であるということです。そういう犬は得てして「聞き分けの良い犬」になります。
ダメといわれたことはしなくなるというタイプですが、反面気を付けないと学習性無力感に襲われる可能性も高いので、常に勇気づけ、自信を持たせることがこれからのテーマになるでしょう。
本来時間をかけて脱感作することが理想ですが、あきらめてしまうのが怖くて、おやつを使った逆条件付けをしてみました。
特に食い意地が張っているルフトには逆条件付けの効果はてきめんで、すぐに勇気を出して近づけるようになりました。
それでも用心深さが出てきて、ぬいぐるみの前で盛んにカーミングシグナルを出します。この写真でも目をそらしているし、後ろ足が引けていますね。
徐々に好奇心が勝ってきて、ぬいぐるみのチェックをし始めました。小犬はこうでなくちゃ。
そしてついに攻撃が始まります。恐怖を克服したのです。
ちょっと臨界期は過ぎてしまったけど、まだまだシナプスの強化には間に合うでしょう。時々チャレンジさせなくては。
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グガグゥ~!です。






