記憶の仕組み
1.感覚記憶
これは1秒ももたないもので、たとえばテレビの映像(毎秒30コマの連続した静止画像)がスムーズに動いて見えるのはこの記憶のおかげです。
2.短期記憶
こちらは20秒から1分以内の記憶。たとえば会話の中で文章を連続して判断できたり、聞いた電話番号を覚えてかけなおしたり・・・。(ちなみに私はこの部分が特に弱い気がします)
3.近時記憶
数日間の記憶。これが特にREM睡眠で繰り返され、長期記憶になるのでいわゆる『学習』には大事な部分です。
4.長期記憶
この段階で編集され、整理されて忘れない記憶になるのだそうです。もうニューロンを結ぶ専用のシナプスが用意されている状態なので、ネットで言えば専用回線があるような感じですね。自動的にすばやく反応できる領域です。
犬のメカニズムがどのくらいヒトと共通しているのかわからないのですが、基本的には似ていると仮定すると、トレーニングで大事なのは短期記憶&近時記憶を長期記憶に移行させる「必然性作り」なのかなと思えます。
長期記憶に保存しようとする理由は、その情報が興味を引くものであったり、印象的であったり、生きていくうえで重要であったりということなので、教えたい事柄にはそういったインパクトを付与すればいいわけです。
いわゆるエモーションの部分なので、こういったことは行動分析学などでは触れられないのでしょうね。比較的新しい学問である認知学ではその辺もカバーしているのでしょうか。
とにかく犬のトレーニングでは、長期記憶に入れるために印象的なエピソードを、教えたい事に足しておくと良いということになります。
で、クリッカーが優れている点の一つが、まさにこの点にあるのではないかと思い至りました。シャープなクリック音はとても印象的であり、1クリック1トリートに徹していれば、報酬の約束は犬の脳に深く刻み込まれます。
さらに突き詰めると、本当に覚えて欲しいことなら、時にはすばらしいご褒美を与えると良いのでしょう。食べ物のグレードアップだったり、クリックの後にとても楽しい遊びを提供したり。そしてその後は次のトレーニングをせず仮眠させるといっそう効果的かも。
脳の科学は人間の脳でさえまだまだ研究中ですから、どんどん新しい発表があります。遺伝子もしかり。そしてそういった研究が人間以外の動物を通じてデータ収集されることも多いので、付随的に犬のことも解っていくわけです。
そういった情報をどこまでトレーニングに反映させられるか。ひいては犬のストレスを減らし、より深い絆をヒトとの間に作っていくことが出来るか、言い換えればどれだけ深いコミュニケーションがヒトと犬の間で可能なのか。興味は尽きません。
コメントの投稿
なるほど
例えば・・・忘れたい記憶はどうやれば長期記憶から離れてくれるのでしょう?コレは人間か・・・
ルフト君、かなりちゃんと待てしてますねー
今日はサモ仲間友人とバーベキューです。
楽しそう
記憶を消す方法ねぇ・・・。
でも記憶って事実ではなく、勝手に書き換えられていることが多いんですって。なんか人為的に書き換える方法もあるのでしょうね。
勉強になります!
これはショートスリーパー故でしょうか
生まれつき(苦笑)でしょうか、ここが
弱いと学習性能が低いって事ですよね。
やばい!
犬の脳はどうなっているんでしょうね?
江戸時代の腑あけ見たいな事はごめんですが
早く解明されて一般的な理解になればなと思います。
しかし、犬の脳みそに焦点を当てたトレーニングって
聞いたことがありませんでした!
だからはまっちゃったのかな~(笑)
またよろしくお願いいたします!
睡眠時間
本当に面白くて興味は尽きません。そして科学の進歩に伴って、どんどん脳の仕組みも解明されていくのがステキです。
宇宙というマクロな世界と脳内というミクロな世界が同じに見えてきちゃいますね。
長期記憶と短期記憶
ごぶさたです
脳の仕組みってすごいですね。人間も他の動物も基本は同じで、たしか「爬虫類の脳」と呼ばれる部分がコアになっているんですよね。
人間の脳にはオプションがいっぱい付いていて、高度に進化したとか。
車で言えばモデルチェンジ直前のフルオプション状態ですね。次に出るのはエンジンまで新設計のニューモデル。
地球上の動物にも脳がまったく新しいニュータイプが出現するのかな?